海外デスクレポート

2024年10月3日

申告に関する更正期限及び罰則金並びに是正手続きついて (米国)

申告に関する更正期限及び罰則金並びに是正手続きついて (米国)

1. 更正期限

過少納税の更正期限は、申告期限又は申告書の提出日のいずれか遅い日から3年です。ただし、総所得の25%を超える申告漏れがあった場合には、6年に延長されます。なお、虚偽の申告を行った場合又は申告義務があったにもかかわらず申告しなかった場合には、時効はありません。

 

2. 罰則金

① 遅延申告に関する罰則金
申告書が申告期限までに提出されない場合、1ヶ月毎に未納税額に対し5%相当額が罰則金として課されます。ただし、未納税額の25%相当額が上限とされます。申告期日から60日以上経過しても申告書が提出されなかった場合、未納税額がない場合であっても、$4852024年)又は未納税額のいずれか少ない金額が罰則金として課されます。

② 延滞納付に関する罰則金
納付税額が納付期限までに完納されない場合、1ヶ月毎に未納税額に対し5%相当額が罰則金として課されます。ただし、未納税額の25%相当額が上限とされます。遅延申告に関する罰則金と延滞納付に関する罰則金の両方が適用される場合は、合計で5%相当額が罰則金として課されます。

③ 過小申告に関する罰則金
故意又は過失による過少申告等の場合、未納税額の20%相当額が罰則金として課されます。ただし、その申告ポジションに合理的な根拠があり故意に税法を無視したものでない場合等は、原則として免除されます。

④ 故意の脱税に関する罰則金
隠ぺい等により故意に脱税した場合、未納税額の75%相当額が罰則金として課されます。

⑤ 延滞利息
未納税額に対して連邦短期利率を基準にした利率(2024年第3四半期は8%)で延滞利息が課されます。なお、罰則金に対しても延滞利息が発生します。

 

3. 是正手続き

過年度の申告漏れ又は過少申告に関する是正手続きとしてStreamlined filing compliance proceduresといった制度が設けられています。当該制度は、一定の要件を満たす米国外に居住する米国の個人納税者及び米国に居住する米国の個人納税者が利用できます。当該是正手続きでは、直近3年間の確定申告書及び直近6年間のFBARを提出し、かつ、FBARを含むすべての申告書を提出しなかったことが非故意の行為によるものであったことを証明する必要があります。当該是正手続きの適用を受けた場合、そのペナルティについては、当該納税者が非居住者の要件を満たす場合は課されず、それ以外の場合は外国金融資産の各年の年間最高残高の5%相当額が課されます。いずれの場合においても、通常の罰則金は免除されます。

 

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 山﨑 剛

    この記事の著者

    山﨑 剛
    税理士法人山田&パートナーズ
    税理士

    2019年、税理士法人山田&パートナーズに入所。国際部に配属。グローバル展開している上場企業、上場子会社といった法人の法人税申告業務、海外に資産を保有する個人の所得税及び相続税申告業務を中心に従事。2020年、大手金融機関に出向。法人オーナーを対象とした事業承継コンサルティングに従事。2024年、米国駐在。
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