車体課税の見直し

速報 平成26年度(2014年度)税制改正解説

車体課税改正の概要

1. 改正の概要

消費税率引き上げの前後における需要の急激な変動を緩和しつつも地方の安定的な財源を確保し、環境性能の優れた自動車等の普及を図るため、車体課税について全般的な見直しが行われました。

 

【車体課税の改正の概要】

c03図1-2

 
 

 

自動車重量税のエコカー減税拡充と経年車増税

1. 改正の概要

(1)平成26年4月1日以後の新車に係る新規検査の際に自動車重量税が免除された自動車(自動車重量税のエコカー減税の適用を受けた自動車)は、その後最初に受ける継続検査等に係る自動車重量税も免除されます。
(2)新車新規登録から13年を経過した自家用自動車(登録から18年を経過したものを除く)の平成26年4月1日以後に受ける継続検査等に係る自動車重量税が増税となります。

 

(1) エコカー減税の拡充
<対象> 新車に係る新規検査の際に自動車重量税が免除されるもの

対象車の例 改正前の税額 改正後の税額
新規検査 最初の継続検査 新規検査 最初の継続検査
H27基準+20%超の自動車 免除 50%軽減 免除 免除
  • H27基準+20%超自動車とは、エネルギー消費効率が平成27年度燃費基準より20%超燃費性能が良い自動車をいう。
  • 燃費基準とは、エネルギーの使用の合理化に関する法律に基づき、それぞれの年度までに達成すべき目標値として定められた基準をいう。

〇 平成26年4月1日以後に新規検査を受ける場合に適用される。

 

(2) 経年車に係る増税
<対象> 新車新規登録からの経過年数が13年超18年以下の自家用自動車

主な車種 車検期間 車両重量 改正前の税額(円) 改正後の税額(円)
H26.4.1~ H28.3.31 H28.4.1以後
乗用自動車 2年 0.5t 毎 10,000 10,800 11,400
1年 5,000 5,400 5,700
トラック 2.5t 超 1年 1t 毎 5,000 5,400 5,700
2.5t 以下 1年 3,800 3,900 4,100
  • 上記の他、バス、特種車、小型二輪、検査対象軽自動車についても増税の改正がされる。

〇 平成26年4月1日以後に継続検査等を受ける場合に適用される。

 

【参考】自動車重量税とは

  • 自動車重量税は、車検などの際に自動車の所有者に対して課税される国税です。
  • 納税額は、車種や車検期間、重量毎に定められています。

2. 今後の注目点

  • 平成27年度税制改正において、エコカー減税の期限到来にあわせ、エコカー減税の基準の見直しを行うとともに、エコカー減税制度の基本構造が恒久化される。

 

 


 

自動車取得税の税率引き下げ、エコカー減税拡充

1. 改正の概要

  • 消費税率引き上げの前後における駆け込み需要及び反動減の緩和も視野に入れ、自動車取得税について次の措置が講じられます。

(1) 平成22年度燃費基準を満たす自動車等に対する税率が引き下げられます。
(2) 自動車取得税のエコカー減税の軽減割合が拡充されます。

 

(1) 税率の引き下げ

自動車の種類 税率
改正前 改正案
自家用自動車(軽自動車を除く) 5% 3%
営業用自動車軽自動車 3% 2%

※ 平成22年度燃費基準を満たすものに限る。

〇 平成26年4月1日以後に新規検査を受ける場合に適用される。

 

(2) エコカー減税の軽減割合の拡充

対象車 税率の軽減割合
改正前 改正後
改正前の制度において、税率を75%軽減する自動車
例:平成27年度燃費基準より10%以上燃費性能が良い等の要件を満たす乗用車
75%軽減 80%軽減
改正前の制度において、税率を50%軽減する自動車
例:平成27年度燃費基準等の要件を満たす乗用車
50%軽減 60%軽減

※1 対象車は新車に限る。
※2 軽減割合は、自動車の種類、重量等に応じて要件が定められている。

(注) 燃費基準とは、エネルギーの使用の合理化に関する法律に基づき、それぞれの年度までに達成すべき目標値として定められた基準をいう。

〇 平成26年4月1日以後に取得する自動車等について適用される。

 

【参考】自動車取得税とは

  • 自動車取得税は、一定の自動車を取得した者が、その自動車の新規登録・移転登録等をした時に課税される地方税(道府県税)です。
  • 納税額は、「取得価額×税率」により計算されます。

 

2. 今後の注目点

  • 消費税率10%引き上げ時(平成27年10月予定)に自動車取得税は廃止される予定である。
  • エコカー減税は、平成27年度税制改正において基準の切り替えと重点化が図られる予定である。

 

 


 

「自動車税のグリーン化」の見直し・延長について

1. 改正の概要

環境負荷の小さい自動車は税額を軽減し(軽課)、環境負荷の大きい自動車は税額を重くする(重課)という特例措置(いわゆる「自動車税のグリーン化」)が、見直しの上2年延長されます。

 

(1) 環境負荷の小さい自動車に対する軽課の見直し

対象車 改正前の税額軽減 改正後の税額軽減
電気自動車、プラグインハイブリッド自動車等(※1) 概ね50%減 概ね75%減
H27年度燃費基準より20%燃費性能が良い自動車等(※2) 概ね50%減 概ね75%減
H27年度燃費基準より10%燃費性能が良い自動車等 概ね50%減 概ね50%減
  • 燃費基準とは、エネルギーの使用の合理化に関する法律に基づき、それぞれの年度までに達成すべき目標値として定められた基準をいう。
  • 税額の軽減は、新車新規登録した年度の翌年度分の自動車税について行われる(登録年度は月割計算による課税が行われ、軽減の適用はない)。

(※1)【改正後】H21年度排出ガス規制に適合したディーゼル車を追加
(※2)【改正後】H32年度燃費基準を満たすものに限定

〇 平成26年度及び平成27年度の間に新車新規登録された自動車に適用される。

 

(2) 環境負荷の大きい自動車に対する重課の見直し

対象車 新車新規登録からの経過年数 改正前の重課割合 改正後の重課割合
ディーゼル車 11年 概ね10%増 バス
トラック
概ね10%増
上記以外 概ね15%増
ガソリン車
LPG車
13年 概ね10%増 バス
トラック
概ね10%増
上記以外 概ね15%増

〇 平成26年度及び平成27年度において、新車新規登録からの経過年数が次の年数を超える自動車に適用される。

 

【参考】自動車税とは

毎年4月1日を賦課期日とし、普通自動車等を所有する者に課される地方税(道府県税)で、納税額は車種等に応じて定められています。

 

2. 今後の注目点

  • 消費税率10%段階において、自動車取得税のグリーン化機能を維持・強化する環境性能課税(環境性能割)を、自動車税の取得時の課税として実施することとし、平成27年度税制改正で具体的な結論を得る。

 

 


 

軽自動車税~税率引き上げ・経年車重課の導入

1. 改正の概要

  • 軽自動車税と自動車税の負担の不均衡を是正するため、軽自動車税の税率が約1.25~2倍引き上げられます。
  • さらに、環境負荷の小さい軽自動車等の普及を促進するため、最初の新規検査から13年を経過した軽自動車等を対象とした重課(約20%の重課)制度が導入されます。

c03_図1※ 原動機付自転車及び二輪車については、平成27年度分以後から税率が約1.5~2倍に引き上げられる(取得時期は問わない)。

〇 税率引き上げは平成27年4月1日以後に新規取得される新車について、経年車重課制度は平成28年度以後の対象車について適用される。

 

【参考】軽自動車税とは

  • 毎年4月1日を賦課期日とし、軽自動車等を所有する者に課される地方税(市町村税)です。
  • 車種および用途等に応じ税額が決められています。

 

2. 今後の注目点

今後、軽課制度の導入について検討が行われる予定である。

 

 

 

内容につきましては、「平成26年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

「速報平成26年度(2014年度) 税制改正解説」へ戻る
「税制改正解説」へ戻る
「インサイト」へ戻る


税制改正の最新情報など、山田&パートナーズの税務情報のニュースレター登録は以下から