生産性向上設備投資促進税制の創設
速報 平成26年度(2014年度)税制改正解説
1. 改正の概要
国内で一定規模以上の生産性向上に資する設備投資を行った青色申告法人は、新たに取得した設備等につき特別償却又は税額控除を選択できます。(新設)
【趣旨】
企業の設備が老朽化・劣化し、生産性の伸び悩みの要因となっているため、本制度の創設により生産性の高い設備、生産ラインやオペレーション改善のための設備投資を促す。
【適用要件】国内において、その法人の事業の用に供される下記①及び②に該当する設備等を取得した場合
① 産業競争力強化法に規定する下記の設備
(生産性向上設備等)
先端設備(※1,2)
最新モデル、かつ、生産性向上要件(旧モデル比で年平均生産性1%以上向上)を満たす設備等
(※1)電子計算機やソフトウェアは中小企業者等が取得等するものに限る。
(※2)ソフトウェアは生産性向上要件不要
生産ラインやオペレーションの改善に資する設備
生産性向上について経済産業局の確認を受けた投資計画(投資利益率が15%以上(中小企業者等は5%以上)である計画)に記載された設備等
② 一定規模以上の設備
(1)機械装置
1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
(2)工具・器具備品(例:冷房機器等、主にエネルギー効率向上に資する設備)
それぞれ1台又は1基の取得価額が120万円以上のもの
(それぞれ1台又は1基の取得価額が30万円以上で、かつ、一事業年度にその取得価額の合計額が120万円以上であるものを含む。)
(3)建物・構築物(例:断熱材等、主にエネルギー効率向上に資する設備)
それぞれ一の取得価額が120万円以上のもの
(4)建物付属設備
一の取得価額が120万円以上のもの
(一の取得価額が60万円以上で、かつ、一事業年度におけるその取得価額の合計額が120万円以上であるものを含む。)
(5)ソフトウェア
一の取得価額が70万円以上のもの
(一の取得価額が30万円以上で、かつ、一事業年度におけるその取得価額の合計額が70万円以上であるものを含む。)
〇 産業競争力強化法の施行の日から平成29年3月31日までの間に生産性向上設備等を取得等し事業供用した場合に適用
【税制措置】
取得等した日 | 特別償却 | 税額控除(限度:法人税額の20%) |
産業競争力強化法の施行の日からH28.3.31まで | 取得価額×100%(普通償却含む) | 取得価額×5%(3%)(※) |
H28.4.1からH29.3.31まで | 取得価額×50%(25%)(※) | 取得価額×4%(2%)(※) |
(※)建物及び構築物については、括弧書きに記載された割合
2. 実務上の留意点
- 対象は、青色申告法人(大法人を含む)である。
- 中小企業者等については、法人税の特別償却又は税額控除が法人住民税及び法人事業税に適用される。中小企業者等以外は、法人税のみに適用される。
- 平成26年3月31日以前に終了する事業年度において、適用期間中に対象資産の取得等をした場合には、平成26年4月1日を含む事業年度において特別償却等ができるものとする。
- 生産性向上設備等につき、中小企業者等投資促進税制の適用を受けられる場合には、次の理由により、その制度の適用を受けた方が有利となる。生産性向上設備投資促進税制:5%の税額控除 < 中小企業者等投資促進税制:7%の税額控除(特定中小企業者等は10%)
- 法人の事業の用に直接供されるものが対象であり、本店・寄宿舎等の建物、事務用器具備品、福利厚生施設等は対象となる設備から除かれる。
3. 今後の注目点
- 産業競争力強化法の施行時期(公布の日(平成25年12月11日)から3ヶ月を超えない範囲内において政令で定める日より施行)
- 産業競争力強化法に規定する生産性向上設備等の内容
- 生産性向上要件(旧モデル比で年平均生産性1%以上向上)の確認方法
- 投資計画につき、経済産業局の確認を受ける際の具体的な手続き
内容につきましては、「平成26年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
税制改正の最新情報など、山田&パートナーズの税務情報のニュースレター登録は以下から