特定公社債の範囲の見直し
速報 平成26年度(2014年度)税制改正解説
1. 改正の概要
- 特定公社債の対象となる「平成27年12月31日以前に発行された公社債」の範囲から、同族会社が発行した社債が除外され、一般公社債に分類されることになります。
【同族会社が発行した社債でその同族会社の株主等が支払を受けるもの】
内容 | 平成27年以前に 支払を受けるもの |
平成28年以後に支払を受けるもの | |||
改正前 | 改正案 | ||||
平成27年以前発行 (特定公社債)(※1) |
平成28年以後発行 (一般公社債)(※2) |
平成27年以前発行 (一般公社債)(※2) |
平成28年以後発行 (一般公社債)(※2) |
||
利子 | 源泉分離課税 | 申告分離課税 | 総合課税 (※3,4) | 総合課税 (※3,4) | 総合課税 (※3,4) |
売却益 | 非課税 | 申告分離課税 | 申告分離課税 | 申告分離課税 | 申告分離課税 |
償還差益 | 総合課税 | 申告分離課税 | 総合課税 (※3,4) | 総合課税 (※3,4) | 総合課税 (※3,4) |
(※1) 特定公社債とは以下のものを指す
① 国債、地方債、外国国債、外国地方債
② 公募公社債、上場公社債
③ 平成27年12月31日以前に発行された公社債⇒【改正案】同族会社が発行した社債を除外
④ その他一定のもの
(※2) 一般公社債とは、特定公社債以外の公社債を指す
(※3) 社債を発行した同族会社の株主等でない者が支払を受けるものは、利子については源泉分離課税(所得税:15.315%、住民税5%)、償還差益については申告分離課税(所得税:15.315%、住民税5%)の対象となる
(※4) 同族会社が発行した社債であっても特定公社債に該当するものは、平成28年以後に支払を受ける場合にも、利子、売却益、償還差益のすべてが特定公社債として申告分離課税(所得税:15.315%、住民税5%)の対象となる
〇 平成28年1月1日以後に支払を受けるものについて適用される。
2. 実務上の留意点
- 平成27年以前に発行した少人数私募債であっても、平成28年1月1日以後に同族会社の株主等が支払を受ける利子は総合課税の対象となる。なお、平成27年12月31日以前に支払を受ける利子は従前どおり源泉分離課税の対象である。
- 総合課税になることにより、所得税・住民税の負担が増える可能性がある。
- 負担が増える場合には、他から借り入れをし、社債を繰り上げ償還することなどの検討も必要。
- 一般公社債に分類されることにより、同族会社が発行した社債の利子は、上場株式等の配当所得等及び譲渡所得等との損益通算の対象でなくなる。
3. 今後の注目点
- 同族会社の株主等の範囲に変更がないか、法令等の確認を要する。
内容につきましては、「平成26年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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