相続財産に係る譲渡所得の課税の特例 他
速報 平成26年度(2014年度)税制改正解説
措置法40条の非課税措置に係る要件の追加(株式保有要件の追加)
1. 改正の概要
- 個人が公益社団・財団法人、非営利型一般社団・財団法人(以下「公益法人等」)に株式等を寄附した場合のみなし譲渡所得は、一定の要件を満たすことにより、非課税となります(措置法40条の非課税措置)。この非課税措置の承認要件に、寄附を受けた株式の保有割合要件が追加されます。
- 改正により、措置法40条の非課税措置を受ける場合には、公益法人等が寄附を受けた株式の保有割合は、当該株式の発行法人における発行済株式総数の2分の1以内に制限されます。
寄附先 | 措置法40条の非課税措置の承認要件 | 措置法40条の非課税措置 以外の株式保有制限 |
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改正前 | 改正後 | ||
公益社団・財団法人 | 株式の保有割合制限はなし | 寄附により発行済株式の総数の1/2を超えて保有することにならないこと | 公益認定基準により議決権の 過半数未満の制限あり (認定法施行令第7条) |
非営利型一般社団・財団法人※ | 制限なし |
※非営利型一般社団・財団法人とは、一般社団・財団法人のうち「剰余金の分配を行わない旨及び解散時の残余財産が国等に帰属する旨が定款に定められていること」「理事の親族割合が1/3以下であること」等の要件を充足した法人で、法人税法上、「公益法人等」に該当し、収益事業課税が適用される法人をいう。
〇 平成26年4月1日以後に行われる株式の寄附について適用する。
2. 実務上の留意点
- 発行済株式の2分の1を超えることとなる寄附については、非課税の対象外となる。
- 公益法人の認定要件における公益社団・財団法人の株式保有割合は、議決権の過半数未満に制限されている。したがって、改正後において措置法40条の非課税措置を受ける場合には、公益社団・財団法人が寄附を受けた株式の保有割合は、議決権の過半数未満、かつ、発行済株式総数の2分の1以内であることが求められる。
- 非営利型一般社団・財団法人が改正後において措置法40条の非課税措置を受ける場合には、寄附を受けた株式の保有割合が発行済株式総数の2分の1以内であることが求められる。
相続税の取得費加算の特例
1. 改正の概要
- 相続開始後3年10ヶ月以内に相続又は遺贈により取得した資産を譲渡した場合において、譲渡所得の計算上取得費に加算する相続税相当額について、「その者が相続した全ての土地等に係る相続税相当額」から「その者が譲渡した土地等に対応する相続税相当額」に変更されます。
譲渡した資産が土地等※である場合 | 譲渡した資産が土地等※以外の資産である場合 | |
計算式 | 「譲渡所得の計算上取得費に加算する相続税額 = A × C/B」 A=その者の相続税額 B=その者の相続税の課税価格(債務控除前) |
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改正前 | C=その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされた全ての土地等の価額 | C=その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされた譲渡した資産に対応する価額 |
改正案 | C=その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされた譲渡した土地等に対応する価額 | 改正なし |
※ 借地権を含む。また、相続時精算課税適用財産、3年内加算適用財産を含む。
〇 平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により取得した土地等を譲渡する場合について適用される。
2. 実務上の留意点
- 相続税の納税財源として相続財産である土地等の譲渡代金を考えている場合、税引き後の手取り額が減少する可能性があるため注意が必要である。
内容につきましては、「平成26年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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