外国法人の国内支店に対する課税範囲の変更
速報 平成26年度(2014年度)税制改正解説
1. 改正の概要
- 外国法人に対する課税原則が、「総合主義」から「帰属主義」へ変わります。
- 外国法人が日本に有するPE(※)については、PEに帰属する所得(PE帰属所得)につき日本で課税する。
- 国内源泉所得のうち、PEに帰属しない所得(PE非帰属国内源泉所得)は、PEに帰属する所得と分離して課税する。(PE帰属所得との損益通算不可)
- 外国法人が日本に有するPEに係る外国税額控除制度が創設されます(現行では、外国税額控除制度は内国法人のみに適用される)。
非居住者についても外国法人の取扱いに準じて適用される。
2. 実務上の留意点
① PE帰属所得の算定において、PEと本店との間の内部取引について損益を認識する。
- 内部取引に対して移転価格税制と同様に、独立企業間価格に基づく損益を認識する。
- 内部取引に関する文書の作成が必要となる。
- PEから本店に対する寄附金は損金不算入となる。
- 本店からPEへの支店開設資金の供与やPEから本店への利益送金等については、資本等取引として認識する。
② PEに帰せられるべき資本(PE帰属資本)を算定し自己資本相当額を超える場合、PEにおける支払利子総額のうち、その超える部分に対応する金額をPE帰属所得の計算上、損金に算入しない(支払利子控除制限)。なお、中小法人の軽減税率、法人住民税均等割の税率及び外形標準課税対象法人の判定については現行どおり本店の資本金の額により行う(PE帰属資本を用いて判定を行わない)。
③ PEが第三国で得た所得について課された法人税等がある場合には外国税額控除制度を適用できる。
〇 平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び平成29年分以後の所得税に適用される。
〇 平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人住民税及び事業税並びに平成30年度分以後の個人住民税に適用される。
内容につきましては、「平成26年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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