欠損金繰越控除限度額と繰越期間の延長時期の見直し

速報 平成28年度(2016年度)税制改正解説

1. 改正の概要

  • 平成27年度税制改正における欠損金の繰越控除限度額の見直しに伴う企業経営への影響を平準化及び法人実効税率の更なる引下げに備えた財源確保を目的として、次の改正がされます。
    ① 欠損金の繰越控除限度割合を次のように段階的な引下げを行います。
    「平成28年4月~平成29年3月開始事業年度分: 65% → 60%」 「平成29年4月~平成30年3月開始事業年度分: 50% → 55%」
    ② 欠損金の繰越期間を「9年」から「10年」に延長する施行時期:「平成29年4月以後」→「平成30年4月以後」の開始事業年度発生分

h03図1-1

(※1)期末資本金額1億円以下の中小法人等(期末資本金額5億円以上の法人の完全子法人等を除く)、更生手続開始の決定等の一定の事実が生じた法人、新設法人の設立日から同日以後7年を経過する日までの事業年度等は、繰越控除限度額が100%のまま改正なし。
(※2)その事業年度の欠損金の繰越控除前の所得金額をいう。
(※3)その事業年度に発生した欠損金について適用する。例えば、改正案において、H30.3期発生欠損金は9年となり、H31.3期発生欠損金は10年となる。
(※4)欠損金の繰越控除制度適用に係る帳簿書類の保存要件における保存期間、更正の期間制限、更正の請求期間も平成30年度分から10年となる。

2. 実務上の留意点

  • 控除限度額の引下げペースの変更により、繰越欠損金を有する法人の事業計画(利益計画)に影響があることから、既に計上されている繰延税金資産及び繰延税金負債の増減の再検討や将来計画に基づく企業価値算定(DCF法等)に留意が必要である。

 

 

内容につきましては、「平成28年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の財源等を確認する必要がある、相当等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。よろしくお願いします。

 

「速報平成28年度(2016年度) 税制改正解説」へ戻る
「税制改正解説」へ戻る
「インサイト」へ戻る


税制改正の最新情報など、山田&パートナーズの税務情報のニュースレター登録は以下から