移転価格税制に係る文書化
速報 平成28年度(2016年度)税制改正解説
1. 改正の概要
- 多国籍企業グループによる所得の国際分散に対する適正な移転価格課税を実現するため、以下の文書の提出が義務付けられます。
用語の定義:
・多国籍企業グループ = 税務上の居住地が異なる2以上の企業を含む連結グループ、なお、規模の重要性を理由に連結の範囲から除外された企業も含む
・最終親会社 = 最上位の連結親会社
・国外関連者 = 法人との間に、持株関係等の支配関係がある外国法人
・国外関連取引 = 国外関連者との間の取引
2. 実務上の留意点
- ローカルファイルは確定申告書の提出期限までに作成しなければならない。国別報告書やマスターファイルと比べて作成期限が短いため、留意する必要がある。
- ローカルファイルは、税務当局への提出は不要だが、次の場合には税務当局が推定課税を行うことができる。
- (作成・保存義務のある国外関連取引の場合)
- 税務当局からローカルファイルの提出を求められた場合において、45日以内で指定された日までに提出できなかったとき
- 税務当局から独立企業間価格を算定するための重要な書類の提出を求められた場合において、60日以内で指定された日までに提出できなかったとき
- (作成・保存義務のない国外関連取引の場合)
- 税務当局からローカルファイルに相当する資料等に関して独立企業間価格を算定するための重要な書類の提出を求められた場合において、60日以内で指定された日までに提出できなかったとき
- 国別報告書・マスターファイルは、e-Taxによる提出が必須である。
- マスターファイルは最上位の親会社が作成し、他のグループ企業に提供することが想定される。親会社がマスターファイルを作成しない場合は、どのようにマスターファイルを準備するか検討が必要である。
- 文書の提出ができない場合の罰則規定が設けられることとなっている。
3. 今後の注目点
- 提出義務の免除要件である連結総収入金額の定義については、今後、法案や政令等を確認する必要がある。
- 持分法適用会社が多国籍企業グループの範囲に入るかどうかについては、今後、法案や政令等を確認する必要がある。
内容につきましては、「平成28年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の財源等を確認する必要がある、相当等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。よろしくお願いします。
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