農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度
速報 平成28年度(2016年度)税制改正解説
1. 改正の概要
- 贈与税の納税猶予における特定貸付けの特例について、一定の場合には適用期間要件がなくなります。
- 贈与税の納税猶予適用対象者が認定農業者等に限定されます。
- 納税猶予打切り要件から、区分地上権が設定された場合で一定の要件を満たすものが除かれます。
内容 | 改正前 | 改正案 |
贈与税の納税猶予における特定貸付けの特例(※1)のうち、農地中間管理事業のための貸付けに係る要件緩和 | 適用期間要件(※2)あり | 適用期間要件なし |
贈与税の納税猶予の適用対象者 | 認定農業者(※3)等の限定なし | 認定農業者等に限定 |
特例適用農地等に区分地上権が設定された場合で、農業相続人等が耕作を継続しているとき | 納税猶予打切り(猶予税額を納付) | 納税猶予を継続 |
(※1)特定貸付けの特例
贈与税の納税猶予適用者が、納税猶予適用対象農地等(市街化区域内にある農地等を除く)に係る地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権の設定による次の貸付けを行った場合には、贈与税の納税猶予が継続される制度。(税務署長への届出が必要)
①農地中間管理事業の推進に関する法律による農地中間管理事業のための貸付け
②農業経営基盤強化促進法による農地利用集積円滑化事業(一定の事業に限る)のための貸付け
③農業経営基盤強化促進法による農用地利用集積計画の定めによる貸付け
(※2)適用期間要件
納税猶予に係る贈与税申告書の提出期限から貸付けまでの期間(適用期間)が10年以上(貸付時において65歳未満の場合には、20年以上)であること
(※3)認定農業者
農業経営基盤強化促進法に基づき、農業者が作成した農業経営改善計画について市町村から認定を受けた者
〇 平成28年4月1日以後の貸付け、贈与、区分地上権の設定に適用される。
2. 今後の注目点
- 認定農業者等の「等」の範囲
- 農業生産法人制度の見直しに伴う措置の内容
内容につきましては、「平成28年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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