所得拡大促進税制の拡充
速報 平成29年度(2017年度)税制改正解説
1. 改正の概要
- 中小企業者等以外の法人は、従来より2%多い賃上げを要件とする一方、税額控除額を2%上乗せする措置がされる。
- 中小企業者等は、従来通りの制度を維持しつつも、2%多い賃上げ要件を満たす場合には、税額控除額を12%上乗せする措置がされる。
改正前 | 改正案 | ||
適用要件 | ① |
雇用者給与等支給額(※1) 適用年度に応じた割合 |
改正なし |
② | 雇用者給与等支給額 ≧ 前期の雇用者給与等支給額(※3) | 改正なし | |
③ | 1人当たり平均給与(※4) > 前期の1人当たり平均給与(※5) | (A) 1人当たり平均給与 ≧ (B) 前期の1人当たり平均給与 × 102% (注) 中小企業者等(※6)については、(A) > (B) (これまでと同様) |
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控除税額(※7) | (雇用者給与等支給額-H24年度の雇用者給与等支給額) × 10% |
(雇用者給与等支給額-H24年度の雇用者給与等支給額) × 10% (注) 下線部分は、「雇用者給与等支給額-H24年度の雇用者給与等支給額」を限度とする。また、中小企業者等については、上記(3)の(A)≧(B)×102%の要件を満たす場合には、2%の控除割合を12%とし、満たさない場合には控除割合を0%、つまり上乗せはなしとする。(次頁参照)。 |
(※1) 国内雇用者(法人の使用人(一定の者を除く)のうち国内の事業所に勤務する雇用者)に対する給与等の支給額をいう。
(※2) 平成25年4月1日以後開始事業年度のうち、最も古い事業年度開始日の前日を含む事業年度の雇用者給与等支給額をいう(基準雇用者給与等支給額)。
(※3) 比較雇用者給与等支給額。
(※4) 雇用者給与等支給額(一定の給与等を除く)を、適用事業年度における給与等月別支給対象者(一定の者を除く)の数の合計数で除した金額をいう(平均給与等支給額)。
(※5) 適用年度の前期の雇用者給与等支給額(一定の給与等を除く)を適用年度の前期の給与等月別支給対象者(一定の者を除く)の数の合計数で除した金額をいう(比較平均給与等支給額)。
(※6) 資本金が1億円以下の法人(同一の大規模法人(資本金1億円超の法人等)に発行済株式等の1/2又は複数の大規模法人に発行済株式等の2/3以上を所有されている法人を除く)。
(※7) 法人税額の10%(中小企業者等は20%)を限度とする。
【上乗せとなる控除税額】
2. 実務上の留意点
- 付加価値割における所得拡大促進税制においても法人税に準じた改正が行われる。
- 法人住民税における課税標準の取り扱いは、これまでと同様(中小企業者等のみ所得拡大促進税制の税額控除後の法人税額を課税標準とする)。
3. 今後の注目点
- 上乗せ措置を最大限活用するための控除限度額の拡充は行われるのか。
- 拡充後の所得拡大促進税制の適用時期は、平成29年4月1日以後開始事業年度分からとなるのか。
- 付加価値割における所得拡大促進税制の付加価値額控除額は、上乗せ措置がなされるのか。
内容につきましては、「平成29年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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