組織再編税制における適格要件についての見直し

速報 平成29年度(2017年度)税制改正解説

1. 改正の概要

  • 企業グループ内の分割型分割に係る適格要件のうち、関係継続要件が見直されます。
  • 共同事業を行うための合併等(合併、分割型分割、株式交換、株式移転)に係る適格要件のうち、株式継続保有要件が見直されます。
  • 組織再編成の後に他の組織再編成が行われることが見込まれている場合の当初の組織再編成の適格要件が見直されます。

【適格要件の見直し】

内容 改正前 改正案
企業グループ内の分割型分割に係る関係継続要件 支配法人と分割法人及び分割承継法人との間の関係が継続することが見込まれる 支配法人と分割承継法人との間の関係が継続することが見込まれる
(分割法人との間の関係継続は問わない)
共同事業を行うための合併等に係る株式継続保有要件
(被合併法人等の株主が50人未満の場合の要件)
交付を受けた合併法人等の株式の全部を継続して保有することが見込まれている株主の有する被合併法人等の株式の数が発行済株式の80%以上であること 被合併法人等の発行済株式の50%超を保有する企業グループ内の株主がその交付を受けた合併法人等の株式の全部を継続して保有することが見込まれる

(※1)合併等
合併、分割型分割、株式交換及び株式移転をいう。
(※2)合併法人等
合併法人、分割承継法人、株式交換完全親法人及び株式移転完全親法人をいう。
(※3)被合併法人等
被合併法人、分割法人、株式交換完全子法人及び株式移転完全子法人をいう。

※ 上記のほか、組織再編成の後に他の組織再編成が行われることが見込まれている場合の当初の組織再編成の適格要件について所要の見直しが予定されている。

2. 実務上の留意点

  • 企業グループ内の分割型分割に係る関係継続要件について
    支配法人が分割型分割後に分割法人をM&Aにより譲渡することを予定している場合においても、適格要件を満たすことになる。
  • 共同事業を行うための合併等に係る株式継続保有要件について
    被合併法人等の発行済株式の50%超を保有する企業グループ内の株主がその交付を受けた合併法人等の株式の全部を継続して保有することが見込まれる場合、その他の株主が合併法人等の株式を譲渡するか否かについては適格要件に影響を及ぼさないこととなる。

 

【関係継続要件について】

h10_図1

(改正前)
・支配法人と分割法人及び分割承継法人との間の関係が継続することが見込まれなければ、適格要件を満たさない。

(改正案)
・支配法人と分割承継法人との間の関係が継続することが見込まれれば、適格要件を満たす(他の要件を充足する場合)。

 

【株式継続保有要件について】

h10_図2

(改正前)
・交付を受けた合併法人等の株式の全部を継続して保有することが見込まれている株主の有する被合併法人等の株式の数が発行済株式の80%以上とならない(70%)ため、適格要件を満たさない。

(改正案)
・被合併法人等の発行済株式の50%超を保有する企業グループ内の株主がその交付を受けた合併法人等の株式の全部を継続して保有することが見込まれれば、適格要件を満たす(他の要件を充足する場合)。

 

 

内容につきましては、「平成29年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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