適格合併等に係る欠損金の制限措置の見直し
速報 平成29年度(2017年度)税制改正解説
1. 改正の概要
- 「適格合併等に係る欠損金の制限措置(※1)」について、一定の見直しが行われます。
内容 | 改正前 | 改正案 |
適格合併等に係る |
以下の欠損金の繰越し、引継ぎができない
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以下の欠損金の繰越し、引継ぎができない
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(※1)適格合併等に係る欠損金の制限措置とは、支配関係のある法人が適格合併を行った際に、以下のうち最も遅い日から継続して支配関係がない場合でみなし共同事業要件等を充足しないときは、合併法人、被合併法人が有する一定の欠損金の繰越し、引継ぎを制限する規定をいう。
・適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日
・被合併法人の設立の日
・合併法人の設立の日
(※2)特定資産の譲渡等損失額とは、以下に掲げる資産以外の資産の譲渡、貸倒れ、除却等により発生した損失の額をいう。
・棚卸資産(土地等を除く)
・短期売買商品
・売買目的有価証券
・帳簿価額が1,000万円に満たない資産
・時価が帳簿価額を下回っていない資産など
〇 改正時期は、大綱段階では不明
2. 実務上の留意点
- 今回の改正により、支配関係が生じた事業年度開始の日から支配関係が生じた日の前日までに生じた特定資産の譲渡等損失により生じた欠損金について、制限が設けられることになる(下記参照)。
- 「特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の制限措置」、「特定株主等によって支配された欠損等法人の資産の譲渡等損失額の損金不算入制度」においても、同じような改正が行われる。
■ 制限の対象となる欠損金のイメージ図
① 支配関係が生じた事業年度開始前の欠損金の繰越し、引継ぎの制限
② 支配関係が生じた事業年度開始の日から支配関係が生じた日の前日までの間に特定資産の譲渡等損失額により生じた欠損金(改正案の内容)
③ 支配関係が生じた日以降に生じた欠損金のうち特定資産の譲渡等損失額に相当する部分の制限
④ 特定資産の譲渡等損失額の損金不算入
内容につきましては、「平成29年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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