中小企業経営強化税制
速報 平成29年度(2017年度)税制改正解説
1. 改正の概要
国内において青色申告書を提出する一定の中小企業者等が、生産等設備で一定規模以上の特定経営力向上設備等を取得し、指定事業の用に供した場合に、新たに取得した設備等につき特別償却又は税額控除を選択できます(新設)。
【趣旨】
- 平成26年度税制改正により、中小企業者等投資促進税制の上乗せ措置として、H29.3.31までの間に取得等をした一定の機械装置、工具器具備品、ソフトウェアで生産性向上設備等に該当するものについて即時償却(100%)又は税額控除が認められていた。
- 今回の改正により中小企業等経営強化法の認定計画に基づく制度に改組し、適用される資産の範囲を拡充し、適用期限もH31.3.31まで延長された。
【適用対象資産のイメージ図】
【適用要件】認定経営力向上計画に記載された①経営力向上設備等のうち、②取得価額要件を満たす特定経営力向上設備等
※1 生産性の指標については、単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等に基づき判断する。
※2 ソフトウェア及び旧モデルがない資産は生産性向上要件は不要である。
【税制措置】
※3 税額控除は当期の法人税額の20%を上限とし、控除限度額超過額は1年間の繰越しが可能
2. 実務上の留意点
- 適用対象となる租税特別措置法上の中小企業者等及び特定中小企業者等は次の通りである。
□ 中小企業者等・・・資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人等で青色申告書を提出するもの
□ 特定中小企業者等・・・中小企業者等のうち資本金の額又は出資金の額が3,000万円以下の法人等
※ 中小企業者投資促進税制、商業・サービス業活性化税制の対象法人のうち、中小企業等経営強化法に定める中小企業者等に該当する法人が対象(資本金の額等だけでなく、業種ごとに従業員数による判断も行われる)
※ 資本金が1億円を超える大規模法人等に支配されている法人は租税特別措置法上の中小企業者等から除かれる - 生産等設備とは、その法人の指定事業の用に直接供されている減価償却資産で構成されているものをいう。
(事務用器具備品、本店・寄宿舎等に係る建物附属設備、福利厚生施設に係るもの等は対象となる設備から除かれる) - 指定事業は、中小企業者等投資促進税制、商業・サービス業活性化税制の対象となる事業をいう。
(風営法の適用を受ける事業等は除かれる)
3. 今後の注目点
- 特定経営力向上設備等の要件である「経営力向上に著しく資する一定のもの」の具体的内容
【参考】生産性向上設備投資促進税制との主な相違点
相違点 | 中小企業経営強化税制(創設) | 生産性向上設備投資促進税制(延長なし) |
対象資産 |
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特別償却 | 取得価額×100% | H28.4.1~H29.3.31まで:取得価額×50% H26.1.20~H28.3.31まで:取得価額×100% |
税額控除 | 取得価額×7%(特定中小事業者等は10%) | H28.4.1~H29.3.31まで:取得価額×4% H26.1.20~H28.3.31まで:取得価額×5% |
内容につきましては、「平成29年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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