中小企業者向け租税特別措置の適用除外

速報 平成29年度(2017年度)税制改正解説

1. 改正の概要

  • 中小企業者等のうち、過去3事業年度の平均所得金額が15億円を超える事業年度については、中小企業者向け租税特別措置法(下記太枠)が適用不可となる。
【主な中小企業者向け特例措置】
特例区分 特例項目
法人税法 (1)法人税率の軽減(所得800万円以下の部分に対する税率:19%)
(2)欠損金の控除制限(所得金額のうち、一定割合を控除限度)
(3)欠損金の繰戻還付制度の不適用措置の除外
(4)特定同族会社の特別税率の適用除外措置
(5)貸倒引当金の損金算入制度の適用
租税特別措置法 (1)法人税率の軽減(所得800万円以下の部分に対する税率:15%)
(2)交際費等の損金不算入制度における定額控除制度の適用
(3)中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
(4)研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制の適用)
(5)所得拡大促進税制(税額控除額の上限等)
(6)投資減税制度(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除等)

 

〇 平成31年4月1日以後に開始する事業年度に適用される。

2. 実務上の留意点

  • 資本金が1億円以下であっても所得金額が高い法人は、中小企業向け特例が適用できなくなるため、税負担が増加する可能性がある。

3. 今後の注目点

  • 具体的に適用不可となる中小企業向け租税特別措置の項目がどうなるのか。
  • 平均所得金額の算定方法がどうなるのか。

 

【資本金と課税所得の関係】
出典:財務省HP租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書(平成28年2月国会提出)業種別・所得階級別適用件数及び適用額(単体)

h19図1(※)法人税率の軽減(所得800万円以下の部分に対する税率:15%)の適用件数

 

 

内容につきましては、「平成29年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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