既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充

速報 平成29年度(2017年度)税制改正解説

1. 改正の概要

  • 所得税額の特別控除の対象となる増改築等工事に、従来の耐震改修工事、省エネ改修工事に加え、一定の耐久性向上改修工事が追加されます。

  • 省エネ改修工事に係る所得税の特別控除の適用要件の見直しが行われます。

  • 給与所得者等が使用者等から借り入れる住宅借入金等のうち、所得税の特別控除の対象外となる住宅借入金の利率が1%未満から0.2%未満に引き下げられます(緩和)。

 (1) 一定の耐久性向上改修工事の追加

① 特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例(ローン型)
個人が既存住宅に対し省エネ改修工事等をした場合に、増改築等に係る年末ローン残高等の2%または1%を居住年以後5年間の各年の所得税額から控除する制度である。

  適用対象となる増改築等工事 (5年間の)最大控除額
改正前 省エネ改修工事を含む工事 62.5万円
改正案 省エネ改修工事を含む工事
または省エネ改修工事と併せて行う耐久性向上改修工事
62.5万円

 

② 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除(投資型)
個人が既存住宅に対し省エネ改修工事等をした場合に、標準的な工事費用相当額の10%を居住年の所得税額から控除する制度である。

  適用対象となる増改築等工事 控除限度額
改正前 耐震改修工事のみ 25万円
省エネ改修工事のみ 25万円
改正案 耐震改修工事+耐久性向上改修工事 25万円
省エネ改修工事+耐久性向上改修工事 25万円(※1)
耐震改修工事+省エネ改修工事+耐久性向上改修工事 50万円(※2)

(※1)省エネ改修工事と併せて太陽光発電装置を設置する場合には35万円を限度とする
(※2)省エネ改修工事と併せて太陽光発電装置を設置する場合には60万円を限度とする

〇 平成29年4月1日から平成33年12月31日までの間に、増改築等をした居住用家屋を自己の居住の用に供する場合に適用される。

 

(2) 省エネ改修工事に係る所得税の特別控除の適用要件の見直し

  省エネ改修工事の適用要件(必須要件)
改正前 全ての居室の窓全部の断熱改修(全窓要件)
改正案 全窓要件、または改修により住宅全体の省エネ性能が断熱等級4等の要件を満たした場合

 

(3) 住宅借入金等特別控除の対象外となる社内融資の利率の引き下げ(緩和)

  利率
改正前 1%未満
改正案 0.2%未満

 

〇 平成29年1月1日以後に、居住用家屋を自己の居住の用に供する場合に適用される。

2. 今後の注目点

  • 耐久性向上改修工事に係る標準的な工事費用の金額。
  • 見直し後の省エネ改修工事に係る所得税の特別控除の要件の適用開始時期。

 

 

内容につきましては、「平成29年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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