非永住者の課税所得の範囲の見直し
速報 平成29年度(2017年度)税制改正解説
1. 改正の概要
・非永住者(※1)の課税所得の範囲から下記の有価証券(※2)の譲渡により生ずる所得が除外されます。
① 外国金融商品取引所において譲渡されるもの
② 国外において金融商品取引業等を営む者への売委託により国外において譲渡されるもの
③ 国外において金融商品取引業等を営む者の国外営業所等に開設された有価証券の保管等に係る口座に受け入れられているもの
※1)非永住者とは、居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人をいう。
※2)平成29年4月1日以後に取得した有価証券で、過去10年以内において非永住者であった期間内に取得したものを除く。
〇 平成29年4月1日以後に行う有価証券の譲渡に適用される。
2. 改正の趣旨
・平成26年税制改正によって、外国法人に対する課税原則が「総合主義」から「帰属主義」に見直されたことに伴い、平成29年分以後の非永住者の課税所得の範囲が下表のように改正されました。
平成28年分まで | 平成29年分以後 | |
非永住者の課税所得の範囲 | 国内源泉所得及びこれ以外の所得で国内において支払われ、又は国外から送金されたもの | 国外源泉所得以外の所得及び国外源泉所得で国内において支払われ、又は国外から送金されたもの |
- 「国外源泉所得」に含まれる株式の譲渡に係る所得は、事業譲渡類似株式に相当する株式など特定の株式に係るものに限られるため、通常の外国上場株式などの譲渡に係る所得は「国外源泉所得以外の所得」に該当します。したがって、非永住者の課税所得の範囲に含まれることになります。
- 「総合主義」から「帰属主義」への課税原則の見直しは、非永住者の課税所得の範囲を変更する趣旨ではなかったこと、及び平成29年分以後の課税所得の範囲の拡大が高度外国人材の呼び込みの阻害要因になっていることから、見直されます。
内容につきましては、「平成29年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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