非上場株式等の納税猶予制度の見直し

速報 平成29年度(2017年度)税制改正解説

1. 改正の概要

  • 相続時精算課税制度に係る贈与が贈与税の納税猶予制度の適用対象に加えられます。

  • 納税猶予の取り消し事由となる雇用確保要件が緩和されます。

  • 贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予制度における認定相続承継会社の要件が緩和されます。

内容 改正前 改正案
贈与税納税猶予の取扱い 相続時精算課税は適用不可
(暦年課税の贈与税計算により猶予税額を算定)
相続時精算課税も適用可
適用後5年間の
雇用確保要件
相続開始時または贈与時の
常時使用従業員数×80%以上(1人未満の端数切上
(例)従業員数4人の場合
4人×80%=3.2人⇒4人
相続開始時または贈与時の
常時使用従業員数×80%以上(1人未満の端数切捨
例)従業員数4人の場合
4人×80%=3.2人⇒3人

※ ただし従業員数が1人の場合は1人とする
贈与者が死亡した場合の
認定相続承継会社の要件
① 当該会社が中小企業者であること
② 当該会社の株式等が非上場株式等に該当すること
左記の要件を撤廃

〇 平成29年1月1日以後に相続もしくは遺贈または贈与により取得する財産に係る相続税または贈与税について適用するとともに、所要の経過措置を講ずる。

 

2. 実務上の留意点

  • 相続時精算課税制度の適用により、納税猶予の取消事由に該当した場合の贈与税・利子税が軽減される場合がある。
  • 雇用確保要件が緩和されたことにより、主に従業員数の少ない小規模事業者について、本制度が適用しやすくなる。

3. 今後の注目点

  • 経過措置の内容(平成28年以前の相続または贈与に関する雇用確保要件等の緩和措置の適用可否等)。

 

 

内容につきましては、「平成29年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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