取引相場のない株式の評価の見直し
速報 平成29年度(2017年度)税制改正解説
1. 改正の概要
① 類似業種比準方式について次の見直しが行われます。
(イ)類似業種の上場会社の株価について、現行に課税時期の属する月以前2年間の平均株価が加わります。
(ロ)配当金額、利益金額、簿価純資産価額の比重割合が、1 : 1 : 1となります。
(ハ)類似業種の上場会社の配当金額、利益金額、簿価純資産価額が、連結決算を反映させたものとなります。
② 株式保有特定会社 (保有する株式及び出資の価額が総資産価額の50%以上を占める非上場会社をいう。) の判定における株式等の範囲に新株予約権付社債が加わります。
③ 評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲が拡大されます。
① 類似業種比準方式の見直し
〇 上記①及び③の改正は、平成29年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価に適用される。
② 株式保有特定会社の判定の見直し
内容 | 改正前 | 改正案 |
株式保有特定会社の判定 における株式等の範囲 |
新株予約権付社債を 株式及び出資の価額に含めない |
新株予約権付社債を 株式及び出資の価額に含める |
〇 平成30年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価に適用される。
2. 実務上の留意点
- 利益金額に対する比重が1/3になるため、利益水準の高い会社の場合は、株価が下がることが想定される一方で、簿価純資産が厚い会社の場合は、株価が上がることが想定される。
- 大会社及び中会社の適用範囲の拡大に伴い、規模区分が変わった結果、折衷方式における類似業種比準価額の適用割合が上がり、株価が下がる可能性がある。一方、新たに土地保有特定会社に該当してしまう会社などは、株価が上がる可能性がある。
- 前々年の上場会社の類似業種の株価が低い場合には、2年平均の株価を選択することにより、株価が下がる可能性がある。
3. 今後の注目点
- 類似業種の上場会社の株価に追加される「課税時期の属する月以前2年間平均」の具体的な計算方法。
- 評価会社の規模区分の判定上、適用範囲が拡大する大会社及び中会社の具体的な金額等。
内容につきましては、「平成29年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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