中小企業向け優遇税制の適用対象である「中小企業者」の範囲縮小
速報 平成31年度(2019年度)税制改正解説
1. 改正の概要
(1)「みなし大企業」の判定における、大規模法人の範囲拡大
中小企業向け優遇税制を受けられない「みなし大企業」の判定における大規模法人の範囲が拡大され、結果として優遇税制を受けられる「中小企業者」の範囲が縮小されます。
項目 | 改正前 | 改正案 |
大規模法人の定義 | ・資本金又は出資金の額が1億円超の法人 ・資本又は出資を有しない法人で常時使用従業員数が1,000人超の法人 |
・資本金又は出資金の額が1億円超の法人 ・資本又は出資を有しない法人で常時使用従業員数が1,000人超の法人 ・大法人(注)の100%子法人 ・100%グループ内の複数の大法人(注)に発行済株式又は出資の全部を保有されている法人 |
(注) 大法人とは、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上である法人、相互会社若しくは外国相互会社(常時使用従業員数が1,000人超のものに限る。)又は受託法人をいう。
(2)「みなし大企業」の判定における、発行済株式からの自己株式除外
みなし大企業の判定にあたっては、その判定対象となる法人の発行済株式又は出資から、その有する自己の株式又は出資を除外します。
2. 適用時期
大綱に特段の記載なし
3. 実務上の留意点
租税特別措置法における優遇措置の対象となる「中小企業者」の定義に関する改正であり、法人税法における優遇措置(軽減税率等)の対象となる「中小法人」とは異なる点に留意が必要である。
なお、法人税法における優遇措置は、大法人による完全支配関係がある普通法人の全てについて適用除外となる。
【参考】影響を受ける主な優遇税制
- 中小企業投資促進税制
- 中小企業経営強化税制
- 商業・サービス業・農林水産業活性化税制
- 研究開発税制(中小企業者は要件緩和・控除拡大)
- 所得拡大促進税制(中小企業者は要件緩和・控除拡大)
4. 今後の注目点
- 適用時期は2019年4月1日以後開始事業年度(投資減税などは2019年4月1日以後に取得)となるか。
- みなし大企業の範囲の拡大は、大法人の孫会社までとなるか。
(「大法人の100%子法人」の要件は、「大法人による完全支配関係がある法人」とならないか。)
内容につきましては、「平成31年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
税制改正の最新情報など、山田&パートナーズの税務情報のニュースレター登録は以下から