仮想通貨に関する課税関係(法人税)
速報 平成31年度(2019年度)税制改正解説
1. 改正の概要
法人が期末に保有する仮想通貨の評価方法及び仮想通貨を譲渡した場合の譲渡原価の算出方法等について、下記の改正が行われる。
(1) 評価方法
企業会計基準委員会(ASBJ)より2018年3月に公表された「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」において会計上の取扱いが決まったことに伴い、法人税法においても、期末に保有する仮想通貨の評価方法が以下のとおり定められる。
会計上 | 法人税法上 | |
活発な市場が存在する仮想通貨 | 時価法(※1) | 時価法(※1) |
活発な市場が存在しない仮想通貨 | 切放し低価法(※2) | 原価法(※3) |
(※1)帳簿価格と期末時点の時価との差額について評価損益を計上する方法。
(※2)期末における処分見込価額が取得原価を下回る場合に、当期処分見込価額を貸借対照表価額とする方法。
(※3)改正案において評価方法について言及がないため、法人税法の評価損益不算入の原則により原価法となる。
(2) 譲渡原価の算出方法
仮想通貨の譲渡に係る原価の額を計算する場合における一単位当たりの帳簿価額の算出方法を移動平均法又は総平均法による原価法とし、法定算出方法を移動平均法による原価法とする。
(3) 譲渡損益の計上時期
法人が仮想通貨の譲渡をした場合の譲渡損益については、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度に計上する。
(4) みなし決済
法人が事業年度末に有する未決済の仮想通貨の信用取引等については、事業年度末に決済したものとみなして計算した 損益相当額を計上する。
2. 適用時期
2019年4月1日以後に終了する事業年度
3. 実務上の留意点
2019年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、仮想通貨を会計上時価評価していない場合には、上記1.(1)及び(4)を適用しないことができる経過措置が講じられる。
内容につきましては、「平成31年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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