高額特定資産の取得等をした場合の特例措置の見直し

速報 令和2年度(2020年度)税制改正解説

1. 改正の概要

高額特定資産(注1)を取得した場合の事業者免税点制度(注2)及び簡易課税制度の適用を制限する措置の対象に、高額特定資産である棚卸資産が、棚卸資産の調整措置(注3)の適用を受けた場合が加えられる。
これにより、取得した高額特定資産である棚卸資産につき、棚卸資産の調整措置(注3)の適用を受けた課税期間以後3年間は事業者免税点制度(注2)及び簡易課税制度の適用を受けることができない。

(注1) 「高額特定資産」とは一取引単位につき、支払対価の額が税抜1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいう。
(注2) 事業者免税点制度は、小規模事業者の納税事務負担等に配慮して納税義務を免除する制度である。
(注3) 納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税の調整措置。

2. 適用時期

2020年(令和2年)4月1日以後に棚卸資産の調整措置の適用を受けた場合について適用される。

3. 改正の趣旨

改正前については、高額特定資産を取得した場合の事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用制限の対象者に免税事業者を含めていなかったため、免税事業者であった期間中に高額特定資産を取得し、課税事業者となった課税期間において棚卸資産の調整措置により仕入税額控除の適用を受け、その後再度免税事業者となった期間中に当該高額特定資産を売却した場合、売上げに係る消費税額は納付されない一方、仕入税額控除が行われてしまうという問題が生じていた。今回は、こうした制度上の欠陥を是正するために税制改正が行われる。

4. 改正の全体像

図5-Sep-11-2023-06-35-36-3554-AM


 

内容につきましては、「令和2年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

「速報 令和2年度(2020年度)税制改正解説」へ戻る
「税制改正解説」へ戻る
「インサイト」へ戻る


税制改正の最新情報など、山田&パートナーズの税務情報のニュースレター登録は以下から