交際費等の損金不算入制度の延長等
速報 令和2年度(2020年度)税制改正解説
1. 改正の概要
- 交際費等の損金不算入制度の適用期限が2年延長され、2022年(令和4年)3月31日までとなる。
- 接待飲食費の50%の損金算入の特例及び中小法人(※)の定額控除限度額(年800万円)までの損金算入の特例の適用期限も2年延長され、2022年(令和4年)3月31日までとなる。
- 接待飲食費に係る損金算入の特例の対象法人から、その資本金の額等が100億円を超える法人が除外される。
2. 改正の趣旨・背景
法人が支出する交際費は、冗費を抑制し法人の内部留保を高め財務体質の強化を図るという政策的観点から原則として損金不算入とされており、その適用期限が2年延長される。
他方、2014年(平成26年)度税制改正において、消費税率の引き上げ後の経済活性化を図るため、交際費のうち接待飲食費の50%を損金とすることが認められた。また、中小法人については新規顧客の開拓や販売促進の手段が限られているため、交際費の活用は必要不可欠な販売促進手段と考えられることから、従前より一定の範囲で交際費の損金算入が認められている。今回の改正においても、引き続き飲食店等に対する需要喚起や派生需要による経済活性化等を図るため、損金算入の特例の適用期限が2年延長される。
ただし、一部の大企業において、接待飲食費の特例によって交際費が大きく変化している状況とは言えず、現預金の大幅な減少に寄与していないことから、資本金の額等が100億円超の大企業について、この特例の対象法人から除外するものである。
3. 実務上の留意点
2017年(平成29年)度税制改正において、適用事業年度前3年の平均所得金額が15億円を超える法人については、2019年(平成31年)4月1日以後に開始する事業年度から、中小企業向け租税特別措置法の適用について制限を設ける改正がされている。
ただし、交際費等の損金不算入制度の中小企業特例については、中小企業が安定的に企業経営を行えるように配慮した原則的な対応に近いものであることから、平均所得金額が15億円を超える中小法人についても、年間800万円まで損金に算入できる特例は適用できることとされている。
4. 今後の注目点
資本金の額等の「等」については、大綱段階では明らかになっていないため、法案や政令等での確認が必要と考えられる。
(※)中小法人とは、期末資本金の額が1億円以下の法人(資本金の額が5億円以上の法人等に株式の100%を直接又は間接に所有されている場合における子会社等を除く)をいう。
内容につきましては、「令和2年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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