少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の延長等

速報 令和2年度(2020年度)税制改正解説

1. 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の延長等

(1) 改正の概要

  • 中小企業者等(※1)が少額減価償却資産(取得価額30万円未満の減価償却資産)を取得した場合に、一事業年度1年当たり300万円まで取得価額の全額を損金に算入することができる特例の適用期限が2年延長(2022年(令和4年)3月31日まで)される。
  • ただし、対象法人について、以下の見直しが行われる。
    ① 対象法人から連結法人を除外する。
    ② 対象法人の要件のうち常時使用する従業員の数の要件を500人以下(現行:1,000人以下)に引き下げる。

(※1)中小企業者等とは、中小企業者又は農業協同組合等以外の法人をいい、中小企業者とは、資本金が1億円以下の法人(同一の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を所有されている法人及び2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を所有されている法人を除く。)、及び資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人をいう。

(2) 改正の趣旨・背景

中小企業者等は、人員確保が困難な中でバックオフィスに十分な人員を割けないことが多く、また、一定のスキルが必要な経理人材を十分に確保することは困難である。減価償却資産の管理や納税等に係る事務負担の軽減や事務処理能力の向上に資する少額資産の取得を促進することによる事業効率の向上を図るため、中小企業者等が取得価額30万円未満の少額減価償却資産を取得等した場合には、その取得価額の全額(限度:一事業年度1年当たり300万円まで)を損金に算入することが認められており、その特例が2年間、延長されることとなった。

2. 大法人の欠損金の繰戻し還付の不適用措置の延長等

(1) 改正の概要

  • 中小企業者等の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付制度(※2)の不適用措置について、その適用期限を2年延長(2022年(令和4年)3月31日)する。
  • ただし、所要の経過措置を講じ、設備廃棄等欠損金額の特例を廃止する。

(※2)欠損金の繰戻しによる還付制度は、青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合において、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度)繰り戻して法人税額の還付を請求できるものをいう。

 

 

内容につきましては、「令和2年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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