大企業の研究開発税制等の税額控除適用要件の見直し

速報 令和2年度(2020年度)税制改正解説

1. 改正の概要

下記の所得要件、賃上げ要件及び設備投資に関する要件のいずれにも該当しない中小企業者等(※)以外(大企業)については、研究開発税制、地域未来投資促進税制、コネクテッド・インダストリーズ税制の税額控除ができないものとされている。
設備投資に関する要件について、その大企業の国内設備投資額が「当期償却費総額の10%を超えること」から、「当期償却費総額の30%を超えること」に改正する(所得税についても同様とする。)。
また、5G投資促進税制について、本措置の対象に加えられる。
項目 改正前 改正後
適用要件 所得要件 (※1) 当期所得≦前期所得
賃上げ要件 (※2) 当期の継続雇用者の給与総額>
前期の継続雇用者の給与総額
設備投資に
関する要件
当期設備投資>減価償却費の10% 当期設備投資>減価償却費の30%

※1 設立事業年度又は合併等事業年度(合併、分割、事業の移転を伴う現物出資、事業譲渡・譲受、特別の法律に基づく承継の日又は連結完全支配関係を有しなくなった日等を含む事業年度)は所得要件は満たさないこととする。
※2 当期の継続雇用者の給与総額及び前期の継続雇用者の給与総額が零である場合には、賃上げ要件は満たすものとする。

2. 改正の趣旨・背景

企業マインドを変革させ、果断な経営判断を促す観点から、収益が拡大しているにもかかわらず賃上げも投資も消極的な企業に対し、研究開発税制などの租税特別措置の適用を停止する措置を強化するものである。

3. 適用時期

大綱からは不明である。

 

※中小企業者等とは、中小企業者又は農業協同組合等以外の法人をいい、中小企業者とは、資本金が1億円以下の法人(同一の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を所有されている法人及び2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を所有されている法人を除く。)、及び資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人をいう。

 

 

内容につきましては、「令和2年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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