5G投資促進税制の創設
速報 令和2年度(2020年度)税制改正解説
1. 改正の概要
一定の青色申告法人が、「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の導入計画に基づき、第5世代移動通信システムに関する一定の設備の取得等を行った場合に、特別償却又は税額控除ができる制度が創設される。適用対象者及び要件 | ① 青色申告書を提出する法人 ② 一定のシステム導入(※1)を行う「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮 称)」の「認定特定高度情報通信等システム導入事業者(仮称)」に該当する法人 ③ 対象資産の取得等をして、国内にある事業の用に供した場合その他の場合 |
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対象資産 | 特定高度情報通信用認定等設備(※2) | |
税制措置 (選択適用) |
特別償却 | 取得価額×30% |
税額控除 | 取得価額×15% (控除上限額:法人税額×20%) |
(※1)「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律の認定導入計画(仮称)」に従って実施される同法の「特定高度情報通信等システム(仮称)」の導入で、その早期の普及を促すものであってその供給の安定性の確保に特に資するものとして基準に適合することについて主務大臣の確認を受けたものをいう。
(※2)適用を受けようとする法人の認定導入計画に記載された機械その他の減価償却資産で、一定のシステム導入の用に供するための一定のものをいう。
(※3)固定資産税・都市計画税については、下記の特例措置が創設される。
<固定資産税・都市計画税の特例措置>
適用対象者 | 「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の規定により認定を受けた「特定高度情報通信等システム導入計画(仮称)」に基づき、電波法の規定によりローカル5G無線局に係る免許(注)を受けた者 (注)地域課題の解決に資すると市区町村長が同意の上で、総務大臣が認めたものに限る。 |
対象資産 | 新たに取得した下記に掲げる償却資産 ①「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の規定により主務大臣の確認を受けたもの ② 取得価額の合計額が3億円以下のもの |
税制措置 | 最初の3年間、課税標準を価格の1/2とする。 |
2. 適用時期
「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の施行の日から2022年(令和4年)3月31日までの間に、特定高度情報通信用認定等設備の取得等をし、国内にある事業の用に供した場合その他の場合に適用される。
(※)固定資産税・都市計画税の特例措置についても、同様の時期に取得等したものが適用される。
3. 実務上の留意点
- 所得税についても同様の改正が行われる。
- 「特別償却」を選択した場合には法人住民税及び法人事業税に適用される。
- 「税額控除」を選択した場合には中小企業者等(※)に係る法人住民税のみに適用される(つまり、大法人や中小法人に係る法人住民税には適用されない)。
- 固定資産税・都市計画税の特例措置については、適用対象者及び対象資産が異なる。
(※)中小企業者等とは、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(発行済株式又は出資の1/2以上を同一の大規模法人に所有されている法人及び発行済株式又は出資の2/3以上を大規模法人に所有されている法人を除く)及び資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人をいう。
4. 今後の注目点
- 「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の施行日及び制定内容
- 「特定高度情報通信等システムの普及に関する法律の認定導入計画(仮称)」の具体的な内容及び申請、認定方法
- 「認定特定高度情報通信等システム導入事業者(仮称)」及び「特定高度情報通信用認定等設備」の対象者、対象設備
- 適用要件における「事業の用に供した場合その他の場合」の内容
- 繰越控除が適用されるか。
内容につきましては、「令和2年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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