特定資産の買換特例の一部見直しと延長
速報 令和2年度(2020年度)税制改正解説
1. 改正の概要
- 適用期限が2020年(令和2年)3月31日から3年間延長される。なお、過疎地域に係る措置(三号)及び危険密集市街地に係る措置(六号)については、2021年(令和3年)3月31日までの延長である。
- 適用要件(対象資産、区域等)が一部見直される。
<適用要件の見直し>
号数 | 内容 | 改正後 |
一号 | 既成市街地等の内から外への買換え | ・譲渡資産 工場の立地が制限されていなかった区域内にある建物又はその敷地の用に供されている土地等を対象から除外 |
二号 | 航空機騒音障害区域の内から外への買換え | ・課税繰延割合 譲渡資産が一定区域内にある場合には80%から70%へ引下げ |
四号 | 都市機能誘導区域の外から内への買換え | 適用対象から除外 |
六号 | 危険密集市街地内の土地、建物等の買換え | ・危険密集市街地 不燃領域率(注)が40%未満である区域に限定 ・譲渡資産 対象資産に耐火建築物又は準耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物を追加 |
七号 | 長期所有(10年超)の土地、建物等から国内の土地、建物等への買換え | ・買換資産 経過措置を講じた上、鉄道事業用車両運搬具を対象から除外 |
八号 | 一定の日本船舶から環境への負荷低減に資する一定の日本船舶への買換え | ・譲渡資産 港湾作業船の船齢要件について、40年未満から35年未満へ引下げ ・買換資産 外航船舶及び内航船舶について、船齢要件(法定耐用年数以下であること)を追加 |
(注)不燃領域率とは、市街地面積に占める耐火建築物の敷地及び幅員6m以上の道路等の公共施設面積の割合をいう。
※上記改正は、七号の長期保有土地等の買換えの見直しを除き、所得税も同様である。(所得税では改正前から鉄道事業用車両運搬具は対象外)
2. 実務上の留意点
① 対象資産等が見直されるため、適用要件について十分な検討を要する。
② 航空機騒音障害区域の内から外への買換え(二号)について、譲渡資産のある区域により、課税繰り延べ割合が70%となる場合があるため留意する。
3. 今後の注目点
七号における所要の経過措置の内容については今後注目すべき点である。
<参考>長期所有(10年超)資産の買換え(七号)に関する過去の主要な改正経緯
改正年度 | 内容 |
2012年度 (平成24年度) |
買換資産の土地について、特定施設の敷地の用に供された土地であり、300㎡以上のものに限定 |
2015年度 (平成27年度) |
・買換資産から機械装置を除外 ・買換え対象地域による繰延べ割合の引下げ (通常80%、地方から大都市への買換え等一定の場合は75%または70%) |
2017年度 (平成29年度) |
買換資産のうち鉄道事業用車両運搬具について、貨物鉄道事業用の電気機関車に限定 |
内容につきましては、「令和2年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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