NISAの拡充等
速報 令和2年度(2020年度)税制改正解説
1. 改正の概要
(1) 新・NISAの創設
- 現行の一般NISAの投資期間終了にあわせ、新・NISAが創設される。
※NISAとは、個人投資家に対する税制優遇制度であり、NISAで受け入れられた株式・投資信託等の配当・譲渡益等は非課税とされる。 - 新・NISAはリスクの低い投資信託などに対象を限定した最大年20万円の積立枠(①特定累積投資勘定(仮称))と、従来通り上場株式などにも投資できる最大年102万円の枠(②特定非課税管理勘定(仮称))の仕組みになり、原則として①特定累積投資勘定(仮称)に投資した場合のみ②特定非課税管理勘定(仮称)にも投資できる制度になる(例外として、上場株式のみへの投資の場合は、①特定累積投資勘定(仮称)への投資をせずに、②特定非課税管理勘定(仮称)への投資が可能となる。)。
項目 | 現行(一般NISA) | 新・NISA |
対象者 | 居住者等 | 居住者等 |
非課税年間投資上限額 | <非課税管理勘定>120万円 | <①特定累積投資勘定(仮称)> 20万円 <②特定非課税管理勘定(仮称)> 102万円 |
非課税期間 | 投資した年から最長5年間 | 投資した年から最長5年間 |
投資可能期間 | 2023年(令和5年)まで | 2024年(令和6年)から2028年(令和10年) |
投資可能商品(非課税対象) | 上場株式、上場新株予約権付社債 公募株式投資信託、ETF、REITなど |
<①特定累積投資勘定(仮称)> 公募等株式投資信託(注1) <②特定非課税管理勘定(仮称)> 上場株式等(注2、3) |
(注1)株式投資信託でその受益権が金融商品取引所に上場等がされているもの又はその設定に係る受益権の募集が一定の公募により行われたものに限る。
(注2)整理銘柄として指定されているものその他の内閣総理大臣が財務大臣と協議して定めるものその他一定のものを除く。
(注3)①特定累積投資勘定(仮称)に投資をしない旨の届出を行い、②特定非課税管理勘定(仮称)の投資のみを行う者は、上場株式のみとされる。
(3) その他
- つみたてNISAの投資期間が2042年(令和24年)12月31日まで5年延長される。
- ジュニアNISAは2023年(令和5年)12月31日で終了することとし、その終了にあわせ、2024年(令和6年)1月1日以後は課税未成年者口座及び未成年者口座内の上場株式等及び金銭の全額について源泉徴収を行われずに払い出すことができることとされる。
2. 実務上の留意点
- つみたてNISAは新・NISAとの選択適用になる。
- 原則として、②特定非課税管理勘定(仮称)へ上場株式等の受け入れをするためには、①特定累積投資勘定(仮称)へ公募等株式投資信託の受益権を受け入れてから6月以内に上場株式等の受け入れを行う必要がある。
- 2023年(令和5年)12月31日において2023年(令和5年)分の一般NISAを設定している居住者等については、2024年(令和6年)1月1日において、非課税口座に①特定累積投資勘定(仮称)及び②特定非課税管理勘定(仮称)が設けられる。
- ①特定累積投資勘定(仮称)に受け入れた公募等株式投資信託の受益権については、当該勘定設定日の属する年の1月1日以後5年を経過した日の属する年分のつみたてNISAに、その公募等株式投資信託の受益権の取得の対価の額により移管することができる。
3. イメージ図
内容につきましては、「令和2年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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