電子帳簿等保存制度の見直し
速報 令和2年度(2020年度)税制改正解説
1. 改正の概要
(1) 電子取引を行った場合の電磁的記録の保存要件の緩和
電子帳簿保存法に基づき、電子取引を行った場合の取引情報について電磁的記録を保存することが義務付けられている。従来からの電磁的記録の保存の要件として、電子的に受領した請求書等に受領者側にてタイムスタンプを付与する方法又は改ざん防止等のための事務処理規定を作成して運用する方法が定められている。
今回の改正では、この要件の緩和を目的として新たな方法が追加された。
(2) 新たに認められる方法
① 発行者のタイムスタンプ(注1)が付された電磁的記録を受領した場合において、その電磁的記録を保存する方法
② 電磁的記録について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステム(訂正又は削除を行うことができないシステムを含む。)において、その電磁的記録の授受及び保存を行う方法
(注1)タイムスタンプとは、ある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する技術。
いずれかの方法による保存が要件 | 改正前 | 改正後 | |
タイムスタンプの付与 | ⒜ 請求書等の発行者側で付与あり | 受領者側のタイムスタンプ付与が必要(注2) | 受領者側のタイムスタンプは不要(上記①) |
⒝ 請求書等の発行者側で付与なし | 受領者側のタイムスタンプ付与が必要(注2) | 変更なし | |
事務処理規定の作成・運用 | 〇 | 変更なし | |
受領者がデータ改変できないシステム(クラウド会計等)の利用 | – | 新設(上記②) |
(注2)受領から概ね3営業日以内にタイムスタンプを付与する。
2. 適用時期
2020年(令和2年)10月1日施行
3. 今後の注目点
上記のいずれかの方法でデータが適正に保存されていれば、紙の請求書や領収書等の受領、あるいはスキャン作業が不要となるため、バックオフィスの効率化に寄与することが期待される。
内容につきましては、「令和2年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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