国外財産調書制度等の見直し
速報 令和2年度(2020年度)税制改正解説
1. 改正の概要
(1) 相続国外財産に係る相続直後の国外財産調書等への記載の柔軟化
- 相続等により取得した国外財産(以下「相続国外財産」という。)に係る国外財産調書への記載時期が後ろ倒しされ、当該国外財産は相続開始年分の国外財産調書の提出義務の判定からも除外される。
- 財産債務調書における相続財産についても同様とする。
(2) 国外財産調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置の見直し
① 加算税等の加重措置の適用対象に、相続国外財産に対する相続税に関し修正申告等があった場合を加える。
② 次のいずれかに該当する場合には、加算税等の加重措置は適用しないこととする(財産債務調書ついても同様とする。)。
(イ) 相続国外財産を有する者(相続国外財産を除いても国外財産調書を提出する義務のある者を除く。)の責めに帰すべき事由がなく提出期限内に国外財産調書の提出がない場合
(ロ) 相続国外財産を有する者の責めに帰すべき事由がなく国外財産調書に記載すべき相続国外財産についての記載がない場合(記載不備の場合を含む。)
(3) 過少申告加算税等の特例の適用の判定の基礎となる国外財産調書等の見直し
相続国外財産に対する相続税に関し修正申告等があった場合の判定の基礎となる国外財産調書が以下の通り見直される。
判定の基礎となる国外財産調書:
『被相続人の相続開始年の前年分の国外財産調書』
『相続人の相続開始年の年分の国外財産調書』
『相続人の相続開始年の翌年分の国外財産調書』
①上記のいずれかに相続国外財産の記載がある場合:軽減措置が適用される。
②上記の全てに相続国外財産の記載がない等の場合:加重措置が適用される。
(4) 国外財産調書に記載すべき国外財産に関する書類の提示等がない場合の加算税の加重措置等の特例の創設
国税庁等の職員から国外財産調書に記載すべき国外財産の取得等に係る書類の提示又は提出を求められた場合、当該職員が指定する日(求められた日から60日を超えない範囲内)までにその提示又は提出をしなかったとき(その者の責めに帰すべき事由がない場合を除く。)における加算税について、下の表の通りとする。
特例の適用 | 関連書類の提示又は提出 | |
あり | なし | |
軽減措置 | 5% (5%軽減) |
10% (軽減なし) |
加重措置 | 15% (5%加算) |
20% (10%加算) |
※現行は書類提示の有無にかかわらず赤枠の扱いとされている
2. 適用時期
(1):2020年(令和2年)分以後の国外財産調書及び財産債務調書に適用される。
(2)~(4):2020年(令和2年)分以後の所得税又は2020年(令和2年)4月1日以後に相続等により取得する財産に係る相続税について適用する。
内容につきましては、「令和2年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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