教育資金の一括贈与の非課税措置の見直し(課税強化し2年延長)

速報 令和3年度(2021年度)税制改正解説

1. 改正の概要

(1) 改正のポイント

教育資金の一括贈与の非課税措置の節税利用目的を是正した上で、適用期間を2年延長する。

(2) 改正の内容

① 贈与者死亡時における相続税の課税対象拡大
贈与者死亡時に、贈与資金のうちに教育資金として費消していない残額がある場合
・改正前:贈与者死亡前3年以内の贈与に係る残額についてのみ相続税の対象
・改正後:全ての贈与に係る残額が相続税の対象

ただし、受贈者が下記のいずれかに該当する場合は対象外(改正前も同様)。
(イ) 23歳未満である場合
(ロ) 学校等に在学している場合
(ハ) 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合

② 受贈者が孫・ひ孫の場合:相続税額の2割加算の適用
贈与者死亡時に受贈者である孫・ひ孫に残額がある場合
・改正前:2割加算の適用なし(贈与者死亡前3年以内の贈与に係る残額についてのみ相続税の対象)。
・改正後:2割加算の適用あり(全ての贈与に係る残額が相続税の対象)。

2. 適用時期

上記1.(2)の改正は、2021年(令和3年)4月1日以後の贈与等により取得する金銭等について適用し、制度の適用期間を2023年(令和5年)3月31日まで、2年間延長する。

3. 制度の概要

図1-Aug-31-2023-05-11-03-2842-AM

4. 実務上の留意点

  • 2021年(令和3年)3月31日までに行った贈与等については、今年度の改正の適用対象外となる。
  • 贈与等の時期により、次の2点について相続時の取り扱いが異なる可能性があるため、いつ行われた贈与等であるかを相続時に確認する必要がある。
    相続の発生は贈与等から数十年後となる可能性もあるため、注意が必要である。
    ① 相続税の課税対象となる範囲
    ② 受贈者が孫等である場合の2割加算の適用の有無

5. 今後の確認事項

改正の2割加算の対象者が「子以外の直系卑属に相続税が課される場合」となっているが、そのうちに代襲相続人である「子以外の直系卑属」が対象となるのかどうかが大綱には明記されていない。

 

 

内容につきましては、「令和3年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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