国際金融都市に向けた税制上の措置
速報 令和3年度(2021年度)税制改正解説
1. 改正の概要
(1) 相続税及び贈与税の納税義務者と課税財産の範囲
(※1)相続・贈与時に在留資格を有し、相続・贈与前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下であるもの。
(※2)贈与前10年以内のいずれかの時に国内に居住しており、国内に住所を有しなくなった日前15年以内の国内居住期間の合計が10年を超えるもの(継続して日本国籍なし)のうち同日から2年を経過していないもの。
(※3)相続前10年以内において国内に住所を有していた期間中、継続して日本国籍がなかったもの。
(※4)贈与前10年以内のいずれかの時に国内に居住しており、国内に住所を有しなくなった日前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下であるもの
(継続して日本国籍なし)又は国内居住期間の合計が10年を超えるもの(継続して日本国籍なし)のうち同日から2年を経過しているもの。
(※5)相続・贈与前10年以内に国内に住所を有していたことがないもの。
(※6)短期非居住贈与者から当該受贈者への国外財産の贈与は一旦申告不要となるが、短期非居住贈与者が出国後2年以内に国内に居住した場合には、その時に出国前に遡って申告をしなければならない。
(2) 改正点
国内に居住する「在留資格」を有する者が、「国内に短期的に居住する在留資格を有する者」や「国外に居住する外国人等」に対して相続や贈与をする場合、改正前は、当該被相続人や贈与者の居住期間が「相続・贈与前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下である場合」に限って、国外財産が相続税・贈与税の課税対象外となっていた。今年度の改正によって、この居住期間の縛りがなくなり、居住期間にかかわらず、国外財産に対しては相続税・贈与税が課税されないこととなる。
2. 適用時期
大綱上明記されていない。
3. 実務上の留意点
ここでいう「在留資格」とは、出入国管理及び難民認定法別表第一の在留資格(外交、高度専門職、医療、研究、企業内転勤、興行など)をいい、同法別表第二の在留資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)は含まれない点に留意する。
4. 今後の注目点
- 適用時期。
- 「国外に居住する外国人等」における「等」の範囲
「等」は「日本国籍を有し、かつ、10年以内に国内に住所を有しない者」を指しているのかどうかの確認が必要。
内容につきましては、「令和3年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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