賃上げ税制:中小企業における所得拡大促進税制
速報 令和4年度(2022年度)税制改正解説
1. 改正の概要
中小企業における所得拡大促進税制について、税額控除率の上乗せ措置の見直しを行った上で、その適用期限を1年間延長する。最大の税額控除額も給与等支給増加額の40%へと拡充が行われる。
項目 | 改正前 | 改正後 | ||||
適用要件 | 適用年度の雇用者給与等支給額≧ 比較雇用者給与等支給額×101.5% |
変更なし | ||||
税額控除 | 上乗せなし | ・控除対象雇用者給与等支給増加額(※1)×15% | 変更なし (控除対象雇用者給与等支給増加額×15%) |
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上乗せ加算 |
下記の①及び②の要件を満たす場合 ① 適用年度の雇用者給与等支給額≧比較雇用者給与等支給額×102.5% ② 下記のいずれかを満たす場合 |
10%加算 |
・適用年度の雇用者給与等支給額≧ 比較雇用者給与等支給額×102.5%の場合 |
15%加算 | ||
・適用年度の教育訓練費の額≧前年度の教育訓練費の額×110%の場合 | 10%加算 | |||||
最大控除率 | 25% | 40% | ||||
控除上限 | ・適用年度の法人税額の20%を上限 | 変更なし |
(※1)雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額をいう。
2. 適用時期
令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する事業年度について適用される。
3. 実務上の留意点
- 教育訓練費に係る税額控除の上乗せ措置の適用を受ける場合、改正前は教育訓練費の明細を記載した書類の確定申告書への添付が必要であったが、改正後は保存義務へと変更になる。
- 控除税額の上乗せに関する要件のうち、経営力向上計画の認定に係る要件がなくなった。
- 法人住民税の計算においても税額控除の適用がある。
- 本制度(中小企業における所得拡大促進税制)の適用要件を満たさない場合においても、継続雇用者に対する給与等が増加しているときは「給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度」の適用可能性がある。
内容につきましては、「令和4年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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