外国人旅行者向け消費税免税制度の見直し
速報 2025年度(令和7年度)税制改正解説
1. 改正のポイント
(1) 趣旨・背景
多額・多量の免税購入品が国外に持ち出されず、国内で横流しされる不正事案が多発している。また、出国時に免税購入物品を所持していない旅行者を補足し即時徴収を行っても、免税購入対象者に資力がないため徴収できず未納となっているケースもある。こうした制度の不正利用を排除し、免税店での業務負荷等の課題を解決するとともに、外国人旅行者の消費税免税手続きにおける利便性向上を図るため、本制度の抜本的な見直しが行われる。
(2) 内容
① 免税方式の見直し(リファンド方式)
免税店が免税対象品販売時に、外国人旅行者から消費税相当額を預かり、出国時に持出しが確認された場合に旅行者にその消費税相当額を返金する仕組み(リファンド方式)とする。
② 免税対象物品の範囲の見直し
- 一般物品と消耗品の区分を廃止する(当該区分により購入限度額や特殊包装の要不要が異なっていた)。
- 消耗品について、同一店舗一日当たりの免税対象となる購入限度額(50万円)及び特殊包装を廃止する。
- 改正前の免税対象物品は「通常生活の用に供するもの」が対象とされていたが、その要件を廃止する。
- 金地金等の不正目的で購入される可能性の高い物品については、免税販売の対象外として個別に定める。
③ 免税販売手続きの見直し
- 税抜100万円以上の免税対象物品について、商品を特定するための情報(シリアルナンバー等)を国税庁に提供する。
- 免税対象物品を免税店以外から海外に配送する「別送」を認める取扱いを廃止する。ただし、免税店から直接海外に配送する「直送制度」の仕組みは引き続き存置される。
2. 適用時期
2026(令和8)年11月1日以後の免税対象物品の譲渡等について適用することとし、「別送」を認める取り扱いは2025(令和7)年3月31日をもって廃止する。
3. 影響
免税店において、レジ環境の整備・クレジットカードリーダー等の機器の導入など、設備投資が必要となる可能性がある。当該設備投資等に対して補助金の交付や税制優遇措置が行われるのかについては注視が必要。
内容につきましては、「令和7年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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