中小企業者等に対する軽減税率の延長
速報 2025年度(令和7年度)税制改正解説
1. 改正の概要
(1) 趣旨・背景
中小企業の800万円までの所得に適用される軽減税率の特例は、リーマン・ショックの際の経済対策として講じられた時限措置である。今般、賃上げや物価高への対応に直面している中小企業の状況を踏まえ、適用期限を2年延長するが、極めて所得が高い中小企業等について一定の見直しを行うこととする。
(2) 内容
中小企業者等の所得の金額のうち、年800万円以下の部分に適用される法人税の軽減税率15%(本則課税:19%)の適用時期が、改正前の「2025(令和7)年3月31日までに開始する事業年度」から2年間延長され、「2027(令和9)年3月31日までに開始する事業年度」となる。
ただし、次の見直しを行う。
① 所得の金額が年10億円を超える事業年度については、軽減税率を17%に引き上げる。
② グループ通算制度の適用を受けている法人を適用除外とする。
2. 適用時期
2025(令和7)年4月1日以後に開始する事業年度より適用される。
3. 実務のポイント
本制度の適用対象となる法人に注意が必要である。
Ⅰ. 普通法人
(※1)中小法人とは、期末資本金の額が1億円以下の普通法人のうち、次に掲げる法人以外をいう(グループ通算制度の適用を受けている法人を除く)。
① 大法人(資本金の額が5億円以上の法人、相互会社(外国相互会社を含む。)、受託法人)との間にその大法人による完全支配関係がある法人
② 100%グループ内の複数の大法人に株式の全部を直接又は間接に保有されている法人(①に該当する法人を除く。)
③ 相互会社、投資法人、特定目的会社、受託法人
(※2)適用除外事業者とは、前3年間の平均所得金額が15億円を超える法人等をいう。
(※3)中小通算法人とは、グループ通算制度における大通算法人に該当しない法人等をいう。
(※4)各法人税率は、この期間内に開始する事業年度において適用される。
(※5)非営利型ではない一般社団法人、一般財団法人は普通法人に該当する。
Ⅱ. 公益法人等
Ⅲ. その他の法人
(※6)特定の協同組合等の年10億円を超える部分の所得に対する税率は、22%が適用される。
内容につきましては、「令和7年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
「速報2025年度(令和7年度)税制改正解説」へ戻る
「税制改正解説」へ戻る
「インサイト」へ戻る
税制改正の最新情報など、山田&パートナーズの税務情報のニュースレター登録は以下から