高度な資源循環投資促進税制の創設

速報 2025年度(令和7年度)税制改正解説

1. 改正のポイント

(1) 趣旨・背景

脱炭素社会の実現に向けて資源循環を一層促進するため、「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律(以下、「再資源化事業等高度化法」という)」が令和6年5月29日に公布され、再資源化事業等の高度化に係る国が一括して認定を行う制度が創設された。これを踏まえ、廃棄物処理事業者の大部分を占める中小企業等の負担軽減、製造業·小売業等と廃棄物処理·リサイクル業等との連携を見据えた事業発掘の環境整備を推進する観点等から、法人税について特例措置を設ける。

(2) 内容

再資源化事業等高度化法の高度再資源化事業計画又は高度分離・回収事業計画の認定を受けた法人が、一定の設備の取得等をして、その法人の高度再資源化事業又は高度分離・回収事業の用に供した場合には、一定額の特別償却ができることとする。

 

適用対象者及び適用要件 ① 青色申告書を提出する法人
② 高度再資源化事業計画又は高度分離・回収事業計画の認定を受けること
③ 対象資産の取得等をして、その法人の高度再資源化事業又は高度分離・回収事業の用に供すること
対象資産 再資源化事業等高度化設備(※)
※「再資源化事業等高度化設備」とは、認定高度再資源化事業計画又は認定高度分離・回収事業計画に記載された廃棄 物処理施設を構成する機械装置及び器具備品のうち、再資源化事業等の高度化に著しく資する設備として環境大臣が財 務大臣と協議して指定するもので、1台又は1基の取得価額がそれぞれ次の金額以上のものをいう。
① 機械装置 2,000万円
② 器具備品 200万円
税制措置 (特別償却) 取得価額(※)×35%
※ 対象資産の取得価額の合計額のうち本制度の対象となる金額は20億円を限度とする。

※ 高度再資源化事業 … 需要に応じた資源循環のために実施する再資源化のための廃棄物の収集、運搬及び処分の事業
※ 高度分離・回収事業 … 廃棄物から高度な技術を用いた有用なものの分離及び再生部品又は再生資源の回収を行う再資源化のための廃棄物の処分事業

 

(3) 参考

出典:環境省「最近の環境政策の動向(2024年11月5日環境経済課)」(一部加工)

 

2. 適用時期

再資源化事業等高度化法の施行日(公布日から1年6ヵ月以内の政令で定める日に施行)から2028(令和10)年3月31日までの間に取得等し、事業の用に供した再資源化事業等高度化設備が対象となる。

 

3. 影響・対応策

本税制活用による再資源化事業への産業廃棄物処理事業者の挑戦意欲の向上や他分野業種からの参入が期待される。

 

4. 実務のポイント

  • 公害防止用設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置(対象設備等の固定資産税の課税標準額を減ずるもの)について、対象資産に「再資源化事業等高度化法」に規定する廃棄物処理施設又は設備を加える改正が合わせて実施される。
  • 再資源化事業等高度化法の施行日について確認する必要がある。
  • 再資源化事業等高度化法の計画の認定の具体的な認定要件、申請方法等を確認する必要がある。
  • 他の投資促進税制(地域未来投資促進税制等)との併用適用の可否を確認する必要がある。

 

 

内容につきましては、「令和7年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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