確定拠出年金制度等の見直し
速報 2025年度(令和7年度)税制改正解説
1. 改正のポイント
(1) 趣旨・背景
働き方やライフコースが多様化する中で、税制が老後の生活や資産形成を左右しない仕組みとしていくことが、 豊かな老後生活に向けた安定的な資産形成の助けとなると考えられる。
また、勤務先の企業が企業年金を設けているかどうか、企業年金の形態がどうであるかといった違いにかかわらず、継続的に、かつ、平等に資産形成ができる環境に整備する必要がある。
このように私的年金等に関する公平な税制を考える観点から、豊かな老後生活に向けて公的年金を補完し、老 後に向けた資産形成を支援するという私的年金の役割を踏まえ、確定拠出年金等の拠出限度額について、引上 げを行うこととなった。
(2) 内容
確定拠出年金法等の改正を前提に、確定拠出年金制度等について下記の見直しが行われた後も、改正前の税制 上の措置を適用する。
① 企業型確定拠出年金(DC)制度におけるマッチング拠出
企業型年金加入者掛金の額は事業主掛金の額を超えることができないとする要件を廃止する。
② 企業型確定拠出年金(DC)の拠出限度額を下記とする。
イ 確定給付企業年金(DB)制度に加入していない者
・・・ 月額6.2万円(改正前:月額5.5万円)
ロ 確定給付企業年金(DB)制度の加入者
・・・ 月額6.2万円(改正前:月額5.5万円)から確定給付企業年金ごとの掛金相当額を控除した額
③ 60歳以上70歳未満で現行の個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できない者のうち、個人型確定拠出年金 の加入者・運用指図者であった者又は私的年金の資産を個人型確定拠出年金に移換できる者で、老齢基礎年金 及び個人型確定拠出年金の老齢給付金を受給していない者の取り扱いを下記とする。
・・・ 新たに個人型確定拠出年金制度(iDeCo)の対象とする
・・・ 拠出限度額を月額6.2万円とする
④ 個人型確定拠出年金(iDeCo)の拠出限度額を下記とする。
イ 第一号被保険者
・・・ 月額7.5万円(改正前:月額6.8万円)
ロ 企業年金加入者
・・・ 月額6.2万円(改正前:月額2.0万円)から確定給付企業年金及び企業型確定拠出年金の掛金額を控 除した額
ハ 企業年金未加入者(第一号被保険者及び第三号被保険者を除く)
・・・ 月額6.2万円(改正前:月額2.3万円)
⑤ 国民年金基金の掛金額の上限を下記とする。
・・・ 月額7.5万円(改正前:月額6.8万円)
2. 適用時期
税制上は改正なし。確定拠出年金法等の改正後も、改正前の税制上の措置を適用する。
3. 影響・対応策
現在の生活資金と老後の生活設計を検討して、確定拠出年金等の制度を活用し掛金を決定する必要がある。
4. 実務のポイント
今後の年金制度改革の動向を見守る必要がある。
内容につきましては、「令和7年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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