生産性向上や賃上げに資する中小企業の設備投資に関する固定資産税の特例措置の延長等

速報 2025年度(令和7年度)税制改正解説

1. 改正のポイント

(1) 改正の趣旨・背景

中小企業は地域の経済や雇用を支え、経済全体を発展させる重要な役割を担っている。赤字企業を含む中小企業の前向きな投資を後押しすることにより、生産性向上や賃上げを促進し経済全体の発展を図るため、固定資産税の特例措置について要件等を見直した上で2年間延長する。

(2) 概要

  • 適用要件において、雇用者給与等支給額の引き上げが必須条件となる。
  • 雇用者給与等支給額を3%以上引き上げる方針を同計画に位置付けた場合の減免割合が最大3/4(改正前は最大2/3)に引き上げられる

(3) 内容

項目 改正前 改正後
適用対象法人 中小事業者等(以下の要件を満たす法人又は個人)
① 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(大規模法人に発行済株式総数等の2分の1以上を所有されている法人等を除く)
② 資本又は出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
③ 常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人
改正なし
適用対象設備 ・機械装置(160万円以上)
・器具備品(30万円以上)
・建物附属設備(60万円以上ただし、家屋と一体となって効用を果たすものを除く。)
・工具(30万円以上)
改正なし
適用要件 一般 ①「先端設備等導入計画」の認定(中小企業等経営強化法に規定する市町村の導入促進基本計画に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させる内容であることが必要)
② 投資利益率が5%以上となることが見込まれている投資計画に記載された一定の設備であること
① 改正なし
② 改正なし
③ 雇用者給与等支給額の実績と比較して1.5%以上となることを計画に位置付けるとともに、労働者に表明(改正前の上乗せ措置)
上乗せ措置 ③ 雇用者給与等支給額の実績と比較して1.5%以上となることを計画に位置付けるとともに、労働者に表明 ④ 雇用者給与等支給額の実績と比較して3%以上となることを計画に位置付けるとともに、労働者に表明
税制措置 一般 固定資産税が最初の3年間1/2減免 固定資産税が最初の3年間1/2減免(適用要件追加)
上乗せ措置 ① 令和5年4月1日~令和6年3月31日取得分
固定資産税が最初の5年間3分の2減免
② 令和6年4月1日~令和7年3月31日取得
分固定資産税が最初の4年間3分の2減免
固定資産税が最初の5年間3/4減免

 

 

2. 適用時期

2025(令和7)年4月1日から2027(令和9)年3月31日までの間に事業の用に供した資産に適用される。
(適用期限2年間延長)

 

3. 影響・対応策

改正前の上乗せ措置である雇用者給与等支給額の引き上げが必須条件となるため適用対象企業が限定される。

 

4. 実務の留意点

大綱上、「適用期限を2年に限り延長する」という記載があり、2027(令和9)年4月1日以降の延長に対して消極的な表現となっている。

 

 

内容につきましては、「令和7年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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