防衛力強化に係る財源確保のための税制措置
速報 2025年度(令和7年度)税制改正解説
1. 改正のポイント
(1) 趣旨・背景
我が国を取り巻く安全保障環境の悪化を鑑み、防衛力の抜本的強化、それに伴う防衛費を安定的(令和9年度において1兆円強)に確保する目的から、防衛特別法人税(仮称)の創設とたばこ税の課税の見直しを行う。
(2) 内容
① 防衛特別法人税(仮称)の創設
法人の各事業年度の基準法人税額について、下記の計算式に基づき当分の間、防衛特別法人税が課税される。
※1 申告期限・納期限・電子申告特例その他質問検査罰則等については法人税と同様
※2 中間申告書の提出は2027(令和9)年4月1日以後開始課税事業年度から適用、過大中間納付額は確定申告により還付
※3 法人税につき欠損金の繰戻還付がある場合には、法人税の還付金額×4%×課税標準法人税額(基準法人税額△基礎控除額)÷基準法人税額のより計算した金額を併せて還付
② たばこ税の見直し
(ⅰ)2段階に分けて、加熱式たばこの紙巻たばこへの換算本数を見直し、課税標準の換算方法を変更する
現行の換算方法 | 改正後の換算方法 | ||
現行 | 現行の換算本数×1.0 | – | |
改正案 | 2026(令和8)年4月1日 | 現行の換算本数×0.5 | 新換算本数×0.5 |
2026(令和8)年10月1日 | – | 新換算本数×1.0 |
【新換算方法】
- 紙その他類するもので巻いた加熱式たばこ0.35g=紙巻たばこ1本
- 上記以外の加熱式たばこ0.2g=紙巻たばこ1本
※ 品目ごとの1個当たり重量4g未満のものについては、当該加熱式たばこの品目ごとの1個をもって紙巻たばこ20本に換算
(ⅱ)3段階に分けて、たばこ税の税率を引き上げる特例措置を講じる
実施時期 | 税率 | 左記以外※ |
本則 | 6,802円 | 14,424円 |
2027(令和9)年4月1日 | 7,302円 | 14,924円 |
2028(令和10)年4月1日 | 7,802円 | 15,424円 |
2029(令和11)年4月1日 | 8,302円 | 15,924円 |
単位:1,000本につき
※特定販売業者以外の者より保税地域から引き取られる製造たばこ
2. 適用時期
① 防衛特別法人税:2026(令和8)年4月1日以後に開始する事業年度より適用
② たばこ税:加熱式たばこの本数換算及び課税標準の改正は2026(令和8)年4月1日と10月1日の2段階、税率の改正は2027(令和9)年4月1日、2028(令和10)年4月1日、2029(令和11)年4月1日の三段階で適用
3. 影響・対応策
防衛特別法人税について、
- 普通法人の法人税率は原則23.2%であり、最大で1%程度の税負担が増える見込み
- 中小法人の場合は課税所得2,400万円程度、中小法人以外の普通法人(いわゆる大法人)の場合は課税所得2,150万円程度までは課税されない見込み
4. 実務のポイント
個人所得税について、2025(令和7)年度の税制改正大綱おいては改正時期の言及がなかったが、今後見直し等される可能性がある。
内容につきましては、「令和7年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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