事例紹介

【事例紹介】事業承継税制を活用した事業承継

【会社概要】
設立:1955年
事業内容:小売業
資本金:1000万

 

1. 概要

「事業承継税制」「民法特例」を活用した事業承継
立法担当者の知識・経験を生かして、後継者の税負担ゼロを実現!

地域のインフラを支え、かつ、地域のために貢献する会社です。すでに後継者が社長として活躍しており、その成長した後継者の姿及び事業承継税制(特例措置)の創設をきっかけに、先代経営者が保有していた自社株式を後継者に承継することを検討し始めました。
山田&パートナーズのサポートを受けながら、事業承継税制(特例措置)の適用を受け、後継者は贈与税負担ゼロで自社株を承継しました。また、民法特例の適用を受けることにより、後継者の後継者以外の相続人に対する遺留分侵害を防ぎ、後継者の経営努力によって業績が向上したことによる株価上昇に伴う「争族」リスクを排除することができ、事業に専念できています。
現在、自社株承継に伴いより事業意欲が高まった社長は、新事業への展開を検討中です。

※ 事業承継税制 … 後継者が、非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において経営承継円滑化法の認定を受けたときは、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度。

 

2. 背景・課題

当社は生活必需品の販売を行っており毎期一定量の販売が見込めるため、決して多額とは言えないものの黒字経営が続き会社は順調に成長してました。しかし、それは一方で会社の純資産が積み上がり自社株式の評価額も高くなっていました
数年前に先代経営者は社長を退き会長となり、後継者が社長として会社の経営にあたっていましたが、自社株式の評価額が高いために株式の承継はできず、依然として先代経営者が自社株式の大部分を保有していました。

図1:株主構成

図01-3

また、会長が保有する財産のうちに占める自社株式の割合も高く、後継者が自社株式のすべてを承継すると、現時点の株価では遺留分を侵害しないものの、将来の会社の成長による株価上昇があった場合には他の相続人の遺留分を侵害してしまう可能性が高い状況でした。

 

 

図2:親族図

図02

後継者が社長として会社を経営する姿を見て安心していた会長は、事業承継税制(特例措置)の創設をきっかけに、自社株式の承継を真剣に考えることを決意しました。そこで、山田&パートナーズが、事業承継方法の検討及び実行サポートを行いました。

 

3. 山田&パートナーズからのご提案

会社・先代経営者の状況を踏まえ、主に以下の3つの手法を中心に検討しました。
⑴ 役員報酬を増額させ、5年~10年の期間をかけて少しずつ贈与
⑵ 持株会社の設立による株式買い取り
⑶ 事業承継税制(特例措置)+民法特例
結論として、次の理由から⑶「事業承継税制(特例措置)+民法特例」の方法により株式承継を行いました。
① 役員報酬の増額等が不要であるため会社の経営体力を維持できること
② 社長の次の後継者(三代目)へ承継できる可能性が十分にあり、将来的な猶予税額の免除を受けられる可能性があること
③ 先代経営者が自らの気持ちを後継者以外の相続人にも伝えることができ、民法特例の適用について他の相続人の理解を得られる可能性が高いこと。

 

4. 将来への取り組み

後継者は先代経営者が保有する自社株式のすべての贈与を受けるものの事業承継税制(特例措置)の適用を受けることにより、事業承継時の税負担ゼロで承継することができました。また、将来の先代経営者の相続時には何にも取得しない(先代経営者が保有する自社株式以外の財産(預貯金、不動産等)については他の相続人が取得します。)ことで、先代経営者の相続時に生じる相続税も納税額ゼロとすることができるようにしました。
また、後継者以外の相続人も、後継者が自社株式のすべてを取得すること、会社のために努力し続けること、自社株式以外の財産は取得しないことについて、全面的に理解・協力の意志を示していただき、民法特例の適用を受けることができました。これにより、後継者の努力による株価上昇によっても遺留分侵害のリスクがなくなり、後継者は会社経営に集中できる状況となりました。
一方で、事業承継税制(特例措置)の適用を受け続けるためには、会社の事業継続が必須です。安定して収益を獲得できる経営基盤はあるものの、将来何が起きるかはわからないため第二の収益基盤の必要性を感じている後継者は、新事業展開を図っています。新事業展開に係る設備投資にあたっては、中小企業等経営強化税制の適用を受けるべく、現在も山田&パートナーズとの打ち合わせを重ねています。事業承継問題が解決した安堵感、前向きな投資に向けての期待感があるためか、心なしか事業承継前よりも生き生きとしています。

 


2020年12月22日(火)