2012年8月16日
- 税の最新情報
消費増税法案、8月10日に成立
消費税の増税を含む社会保障と税の一体改革関連法案が8月10日、参院本会議で可決、成立しました。これにより、経済環境の急変時に増税を見合わせる「景気条項」はありますが、消費税の税率は、平成26年4月1日から8%、平成27年10月1日から10%に引き上げられます。
「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」(いわゆる消費増税法)には、消費税率の引上げの他、いくつか消費税法に関する改正が規定されています。たとえば、消費税増税法の施行日である平成26年4月1日以後に新設する資本金1千万円未満の法人のうち、他の者にその新設法人の株式等の50%超を直接又は間接に保有され、かつ、当該他の者及びその特殊な関係にある法人のいずれかの課税売上高が5億円を超える場合には、設立から2年間免税事業者となる制度が不適用となります。
消費増税法の施行日は平成26年4月1日ですが、旅客運賃や電気料金、請負工事、資産の貸付け、役務の提供、長期工事の請負等については、附則に経過措置が設けられています。前回平成9年の税率引上げ時とほぼ同様の措置です。施行日の半年前である平成25年10月1日前に工事の請負契約等を締結し、施行日以後にその契約に係る譲渡等を行う場合には、その譲渡等に係る消費税は、改正前の5%の税率が適用されます。また、平成25年10月1日以後27年3月31日までの間に契約した場合には、平成27年10月1日以後の譲渡等であっても8%の税率が適用されます。
消費税の税率引上げ時期は決まりましたが、消費税の逆進性対策に関する具体的な内容については決まっておらず、給付付き税額控除や複数税率の導入を軸に、今後、検討されます。また、住宅や自動車などの高額品は、消費税率の引上げによる負担が重いため、増税前の駆け込み需要やその反動など経済に与える影響が大きいと考えられますが、それを緩和するための住宅ローン減税の拡充や自動車取得税の見直しも、今後の検討課題です。
なお、当初、法案に盛り込まれていた所得税・相続税関係の見直し部分は、民主、自民、公明の3党合意による修正で全て削除されています。しかし、附則において「検討を加え、その結果に基づき、平成24年度中に必要な法制上の措置を講ずる。」と規定されています。従って、平成25年度税制改正法案において、所得税・相続税等の改正が盛り込まれることが、法律により担保されました。今後の税制改正の議論の行方が注目されます。