2012年8月27日
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国税庁、取扱い変更を公表 ゴルフ会員権の取得費の取扱い
国税庁は、ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取り扱いを改め、8月23日にホームページに公表しました。
この取扱いの変更は、本年6月27日の東京高裁の判決を受けたものです。国側も控訴しなかったため、判決は確定しています。
判決では、預託金会員制ゴルフ会員権が会社更生法の適用により、預託金債権の全額が切り捨てられて優先的施設利用権(プレー権)のみのゴルフ会員権となったとき、その譲渡による収入金額から控除する取得費については、預託金会員制ゴルフ会員権を取得したときのプレー権部分に相当する取得価額とすると判示しています。
従来は、預託金会員制ゴルフ会員権について、プレー権と預託金返還請求権を内容とする資産としていたため、預託金債権の全額が切り捨てられた場合には、従前のゴルフ会員権としての性質を維持していないとしていました。
従って、プレー権は更生手続き等により新たに取得したものと取り扱われ、その譲渡による収入金額から控除する取得費については、更生手続き等が行われた時のプレー権の時価相当額としていました。
変更後は、プレー権が、次に掲げる(1)(2)の状況その他の事情から総合的に判断し、更生手続等の前後で変更なく存続し、同一性を有していると認められる場合には、その譲渡による収入金額から控除する取得費については、預託金会員制ゴルフ会員権を取得したときのプレー権部分に相当する取得価額となります。
(1)更生計画等の内容から、プレー権が会員の選択等にかかわらず、更生手続等の前後で
変更がなく存続することが明示的に定められていること。
(2)更生手続等によりプレー権のみのゴルフ会員権となるときに、新たに入会金の支払いが
なく、かつ、年会費等納入義務等を約束する新たな入会手続が執られていないこと。
この変更後の取扱いは、既に所得税の確定申告をされた方であっても適用されます。所得税が納め過ぎになる場合には、この取扱いの変更を知った日の翌日から2ヵ月以内に更正の請求をすることにより、納め過ぎた所得税が還付されます。しかし、法定申告期限等から既に5年を経過している年分の所得税については、還付を受けることができませんので、ご注意ください。