2012年12月3日
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国税庁、東京電力から受け取る賠償金の取扱い(所得税)を公表
国税庁は、ホームページに「東京電力から支払いを受ける賠償金の所得税法上の取扱い等について」を公表しました。平成23年11月30日付国税庁文書回答「東日本大震災における福島第一・第二原子力発電所の事故の被害を受けた方が受け取る賠償金の所得税法上の取扱いについて」に項目を追加したものです。
「財物価値の喪失又は減少等」に対する賠償金の取扱いについては、具体的な賠償の内容が確定した後、東京電力が改めて照会することとなっていましたが、賠償内容が確定したため、同社が同庁に対して改めて事前照会をし、項目が追加されました。
今回追加された事項を加えて、本件事故による損害賠償金に係る所得税の課税関係をまとめると下記のとおりです。
<避難等対象者への賠償金>
○心身に加えられた損害または資産の損害に対して支払われる賠償金・・・非課税
例:避難生活等による精神的障害生命・身体的損害、放射線被爆による精神的損害、
検査費用(人)、避難・帰宅費用、一時立入費用、検査費用(人、物(家事用資産))、
財物価値の喪失または減少等
○就労不能損害のうち、給与等の減収分に対する賠償金・・・一時所得の収入金額
※転居費用及び通勤費増額に係る賠償金については、課税関係は生じません。
<個人の事業に関する賠償金>
○必要経費を補てんするために支払われる賠償金・・・事業所得等の収入金額
例:営業損害のうち、追加的費用に係るもの、検査費用(物(業務用資産・棚卸資産)
※追加的費用等が必要経費として収入金額から控除されるため、実質的に課税は生じません。
○営業損害のうち減収分(逸失利益)に対する賠償金・・・事業所得等の収入金額
例:避難指示等により業務に従事することができなかったことによる減収分、
いわゆる風評被害などによる減収分、又は出荷制限指示による棚卸資産等の損失
※事業所得等の収入金額になった上で、減価償却費などの必要経費を控除した残額(所得)が課税の対象になります。