2013年5月27日
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大阪地裁、外れ馬券を経費と認めるも有罪判決
競馬の払戻金を申告せず、約5億7千万円を脱税したとして、所得税法違反罪に問われた元会社員の男性被告の判決が23日、大阪地裁でありました。裁判長は、弁護側の主張通り、外れ馬券を含む購入費全額を経費と認める一方、元会社員に懲役2月、執行猶予2年を言い渡しました。
税法上、給与所得者は、給与以外の所得が年間20万円を超えた場合には、申告する義務があります。元会社員は、高額の競馬の払戻金を受けていたにも関わらず申告をしなかったとして、有罪判決を受けました。
報道によると、元会社員は、市販ソフトを改良した競馬予想システムを作成し、中央競馬のほぼ全レースにかけ続けたようです。
判決では、「一般的」な競馬の払戻金については、多分に偶発的であり、各馬券購入行為の間に継続性又は回帰性があるとは認められないから、一時所得に該当するとしています。その一方で、元会社員の行為は、回数、金額がきわめて多数、多額に達している。一連の行為として見れば、恒常的に所得を生じさせ得るものであって、その払戻金については、その所得が質的に変化しており、一時所得に該当せず、雑所得に該当すると判示しています。
一時所得であれば、経費として認められるのは「収入を得るために支出した金額」、すなわち「当たり馬券の購入費」ですが、雑所得であれば、収入を得るために直接に要した費用に加え、その他業務に関連して生じた費用の額も経費として認められます。判決では、元会社員の購入方法では、外れ馬券を含めた購入費用総額が経費として認められるとしています。
その結果、元会社員の脱税額は、当初の約5億7千万円から約5千万円へと大幅に減額されました。脱税については有罪判決となりましたが、課税に関する弁護側の主張はほぼ認められたことになります。
今回は刑事訴訟の判決ですが、被告は国を相手に課税処分の取り消しを求める訴訟を起こしており、今回の判決は、こちらの訴訟にも大きな影響を与えそうです。