2012年9月10日
- 税の最新情報
国税庁 「特定役員退職手当等Q&A」を公表
国税庁は、「特定役員退職手当等Q&A」をホームページに公表しました。これは、平成24年度税制改正により、特定の役員に対する退職手当等に係る退職所得の金額の計算が改正され、平成25年1月1日より施行されることから、国税庁が必要事項を取りまとめたものです。
平成24年度税制改正では、勤続年数5年以下の法人役員(国会議員及び地方公共団体の議会の議員、国家公務員及び地方公務員を含む)に係る退職所得の課税方法について、退職所得控除額を控除した残額の2分の1とする累進緩和措置を廃止しました。この背景には、累進緩和措置を前提に、当初から短期間のみ在職することが予定されている法人役員等が、給与の額を低く抑える一方で、高額な退職金を受け取って税負担を免れるというケースが多くみられたことがあります。
「Q&A」の内容を見ると、まず退職所得金額の計算方法の概要を説明し、今回の改正内容を解説した上で、11問のQ&Aを掲載しています。
「対象となる役員等勤続年数が5年以下かどうか」の判定については、原則、「退職手当等の支払者の下においてその退職手当等の支払の基因となった退職の日まで引き続き勤務した期間のうち、役員等として勤務した期間により計算した年数が5年以下かどうか」により判定するとしています。従業員として勤務した期間が長くても、役員等として勤務した期間が5年以下であれば、特定役員に該当するとしています(Q3)。一方、取締役を4年勤めた後に引き続き監査役を2年間勤め、合わせて5年超となっている場合には「特定役員に該当しない(Q11)と説明しています。
今回の改正は、平成25年分以後の所得税について適用されます。退職手当等については、その退職手当等の収入すべきことが確定した日の属する年分の所得となるので、その「収入すべきことが確定した日」が平成25年1月1日以後であれば、退職が平成24年中であっても、累進緩和措置が適用されないので注意が必要です。