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2020年4月23日

  • 税の最新情報

【新型コロナ関連】業績悪化により役員給与を減額した場合の法人税の取扱い


国税庁は、当面の申告や納税などに関して寄せられた質問等を、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」として取りまとめ、公表しています。

このFAQは、随時更新されています。今回は4月13日に更新された「業績が悪化した場合に行う役員給与の減額」の法人税の取扱いについてご紹介します。

問 <<業績が悪化した場合に行う役員給与の減額>>

当社は、各種イベントの開催を請け負う事業を行っていますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、イベント等の開催中止の要請があったことで、今後、数か月間先まで開催を予定していた全てのイベントがキャンセルとなりました。

その結果、予定していた収入が無くなり、毎月の家賃や従業員の給与等の支払いも困難な状況であることから、当社では、役員給与の減額を行うこととしました。

法人税の取扱いでは、年度の中途で役員給与を減額した場合、定期同額給与に該当せず、損金算入が認められないケースもあると聞いています。

そこで、当社のような事情によって役員給与を減額した場合、その役員給与は定期同額給与に該当するでしょうか 。


 

・ 貴社が行う役員給与の減額改定については、業績悪化改定事由による改定に該当するものと考えられます。したがって、改定前に定額で支給していた役員給与と改定後に定額で支給する役員給与は、それぞれ定期同額給与に該当し、損金算入することになります。

・ 法人税の取扱いにおける「業績悪化改定事由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいいますので、貴社のように、業績等が急激に悪化して家賃や給与等の支払いが困難となり、取引銀行や株主との関係からもやむを得ず役員給与を減額しなければならない状況にある場合は、この業績悪化改定事由に該当することになります。
 

  
法人が役員に支払う報酬(給与)については、 次のいずれかに該当し、かつ、不相当に高額ではない等一定の場合にのみ、税務上の損金として認められます。

 ・ 定期同額給与
 ・事前確定届出給与
 ・業績連動給与

このうち、定期同額給与とは、1か月以下の期間ごとに支給される給与で、かつ、その事業年度の各支給時期における支給額が同額である給与、その他これに準ずる給与をいいます。

役員給与について、税務上の損金として認められるのが一定の場合のみに限定されているのは、利益調整に使われる恐れがあるからです。

一方、利益調整に使われる恐れがない場合には、期中に支給額を変更しても、税務上の損金として認められることがあります。「業績悪化改定事由」による支給額変更もその一つです。

業績悪化改定事由に該当するかどうかは、単に業績が悪化しているという主観的な判断では足りず、例えば「 経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じたため(国税庁「役員給与に関するQ&A」より)」というような 客観的な状況が必要です。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、営業自粛の要請がされている業種の会社では、業績が悪化している客観的な状況があると考えられます。

したがって、役員給与を減額しても、減額後に定額を支給するのであれば、業績悪化改定事由に該当する改定として認められ、税務上の損金として計上することができます。


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