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2020年4月24日

  • 税の最新情報

【新型コロナ関連】業績の悪化が見込まれるために役員給与を減額した場合の法人税の取扱い

国税庁は、当面の申告や納税などに関して寄せられた質問等を、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」として取りまとめ、公表しています。

このFAQは、随時更新されています。今回は4月13日に更新された「業績の悪化が見込まれるために行う役員給与の減額」の法人税の取扱いについてご紹介します。


問 <<業績の悪化が見込まれるために行う役員給与の減額>>

当社は、新型コロナウイルス感染症の影響により、外国からの入国制限や外出自粛要請が行われたことで、主要な売上先である観光客等が減少しています。そのため、当面の間は、これまでのような売上げが見込めないことから、営業時間の短縮や従業員の出勤調整といった事業活動を縮小する対策を講じています。

また、いつになれば、観光客等が元通りに回復するのかの見通しも立っておらず、今後、売上げが更に減少する可能性もあるため、更なる経費削減等の経営改善を図る必要が生じています。

一方で、当社の従業員の雇用や給与を維持するため、急激なコストカットも困難であることから、当社の経営判断として、まずは役員給与の減額を行うことを検討しています。しかしながら、法人税の取扱上、年度の中途で役員給与を減額した場合にその損金算入が認められるのは、経営が著しく悪化したことなど、やむを得ず減額せざるを得ない事情(業績悪化改定事由)がある場合に限られると聞いています。

そこで、当社のような理由による役員給与の減額改定は、業績悪化改定事由による改定に該当するのでしょうか。 

貴社が行う役員給与の減額改定について、現状では、売上などの数値的指標が著しく悪化していないとしても、新型コロナウイルス感染症の影響により、人や物の動きが停滞し、貴社が営業を行う地域では観光需要の著しい減少も見受けられるところです。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が防止されない限り、減少した観光客等が回復する見通しも立たないことから、現時点において、貴社の経営環境は著しく悪化しているものと考えられます。

そのため、役員給与の減額等といった経営改善策を講じなければ、客観的な状況から判断して、急激に財務状況が悪化する可能性が高く、今後の経営状況が著しく悪化することが不可避と考えられます。

したがって、貴社のような理由による役員給与の減額改定は、業績悪化改定事由による改定に該当します。
  
前回「【新型コロナ関連】業績悪化により役員給与を減額した場合の法人税の取扱い」でご紹介したとおり、期中に役員給与の金額を変更した場合、全額を税務上の損金とするためには一定の事由が必要です。

その事由の一つに、「業績悪化改定事由」があります。業績悪化改定事由とは、法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由をいいます。

「法人の経営の状況が著しく悪化したこと」とありますが、現状ではそこまでではないが、将来的に著しく業績が悪化すると客観的に判断される場合も、業績悪化改定事由に該当します。

本事例の場合、上記「答」にあるとおり、現状では経営上の指標が著しく悪化していないとしても、経営環境は著しく悪化しており、客観的な状況から判断して、経営改善策を講じなければ業績が著しく悪化することは避けられないと考えられます。

したがって、本事例において役員給与を減額しても、 減額後に定額を支給するのであれば、業績悪化改定事由に該当する改定として認められ、税務上の損金として計上することができます。

 

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