割引債、公社債等の課税方式の変更

速報 平成25年度(2013年度)税制改正解説

公社債等の課税方式の変更

1. 改正の概要

  • 公社債等に係る利子所得および譲渡所得等の課税方式が変更されます。

f01図1

(※1) 特定公社債等とは、特定公社債、公募公社債投資信託の受益権、証券投資信託以外の公募投資信託の受益権及び特定目的信託の社債的受益権で公募のものを指します。
(※2) 特定公社債とは以下のものを指します。①国債、地方債、外国国債、外国地方債②公募公社債、上場公社債③平成27年12月31日以前に発行された公社債(発行時に源泉徴収されたものを除く)④その他一定のもの
(※3) 一般公社債等とは、特定公社債以外の公社債、私募公社債投資信託の受益権、証券投資信託以外の私募投資信託の受益権及び特定目的信託の社債的受益権で私募のものを指します。
(※4) 低クーポン債・ストリップス債・ディファードペイメント債等一定の債券の売却益については、譲渡所得等として総合課税となります。
(※5) 特定公社債等に係る利子のうち、源泉徴収が行われたものについては、申告を要しないことができます。
(※6) 同族会社が発行した社債に係る利子および償還金のうち、その同族会社の役員等が支払を受けるものを除く。

〇 平成28年1月1日以後に適用される。

 

2. 実務上の留意点

  • 一般公社債等に係る利子および償還金のうち、同族会社が発行した社債に係るもので、その同族会社の役員等が支払を受けるものは、総合課税(雑所得)の対象となる。(ex:少人数私募債)

3. 今後の注目点

  • 同族会社の役員等の範囲については、法人税法に規定する役員等と同じであるか法令等の確認を要する。
  • 平成27年12月31日までに発行された少人数私募債の取り扱いについては、今後法令等の確認を要する。

 


 

割引債の課税方式の変更

1. 改正の概要

  • 割引債の償還差益につき、償還時に20%の源泉徴収が行われます。
  • 上記の変更に伴い、従前の、割引債発行時の18%源泉徴収制度は廃止されます。
内容 改正前 改正案
割引債 売却益 非課税 (※1)

譲渡所得 (申告分離)

償還時20%の源泉徴収 (※3)
(所得税15%、住民税5%)

償還差益 発行時18%源泉徴収
(所得税のみ) (※2)

(※1) 低クーポン債・ストリップス債・ディファードペイメント債等一定の債券の売却益については、譲渡所得等として総合課税となります。
(※2) 外貨公債の発行に関する法律第1条第1項に規定する外貨債等一定の債券の償還差益については、発行時に源泉徴収されず、償還時に雑所得として総合課税となります。
(※3) 償還金が源泉徴収の対象となる割引債は、以下のものを指します。
①割引の方法により発行された一定の公社債 ②ストリップス債 ③ディスカウント債(その利子の利率が著しく低い公社債)

〇 平成28年1月1日以後に適用される。

 

2. 実務上の留意点

  • 平成27年12月31日以前に発行された割引債でその償還差益が発行時に源泉徴収の対象とされたものについては、償還差益に係る18%源泉分離課税を維持し、譲渡による所得は非課税となる。
  • 割引債のうち、特定の公社債等に該当するものに係る譲渡所得について、上場株式等に係る譲渡所得と損益通算が可能となる。

 

 

内容につきましては、「平成25年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

「速報平成25年度(2013年度) 税制改正解説」へ戻る
「税制改正解説」へ戻る
「インサイト」へ戻る


税制改正の最新情報など、山田&パートナーズの税務情報のニュースレター登録は以下から