車体課税改正の概要

速報 平成27年度(2015年度)税制改正解説

車体課税改正の概要

1. 改正の概要

  • 環境性能の優れた自動車等の普及を図るため、車体課税について見直しが行われました。

 

【車体課税の改正の概要】

c03図1-1

 

※ 車体課税については、消費税率の10%への引上げ時に、見直しが予定されています。

 


自動車重量税におけるエコカー減税の見直し

1. 改正の概要

  • 平成32年度(2020年度)燃費基準への移行を円滑に進めるとともに、足元の自動車の消費を喚起することにも配慮し、次の措置が講じられます。

(1)自動車の燃費性能に関する要件について、平成27年度燃費基準から平成32年度燃費基準への移行が行われます。
(2)平成27年度燃費基準につき一定の要件を満たす自動車についても、引き続き自動車重量税の税額が25%軽減されます。
(3)本改正により、エコカー減税の対象外となる一定の自動車について、新規検査時の税率を本則税率とする経過措置(エコカー減税の対象車以外は、本来、本則税率よりも高い税率を適用)が設けられます。
(4)適用期限が「平成27年4月30日まで」から「平成29年4月30日まで」に2年間延長されます。

 

(1) 燃費性能に関する要件の見直し(乗用車の場合)

新規検査時の税額 要件
改正前 改正案
免税 H27燃費基準
+20%以上
H32燃費基準
+20%以上
75%軽減 H27燃費基準
+10%以上
H32燃費基準
+10%以上
50%軽減 H27燃費基準
を充足
H32燃費基準
を充足
  • H32燃費基準+20%以上とは、エネルギー消費効率が平成32年度燃費基準より20%以上燃費性能が良い自動車をいう。
  • バス、トラックについては、H27燃費基準に係るエネルギー消費効率の引き上げが行われる。

 

(2)平成27年度燃費基準によるエコカー減税の継続適用(新設)

対象車の例 要件 ① 要件 ② 要件 ③ 税額
乗用車(注) H27燃費基準
+5%以上
H17排出ガス
規制適合
H17排出ガス
基準△75%以上
25%軽減

(注)バス、トラックについては、別要件にて適用あり。

  • H17排出ガス規制とは、新型車の審査を行う際の基準となる排出ガス基準値を定めたものである。
  • H17排出ガス基準△75%以上とは、平成17年排出ガス規制基準値より有害物質の排出を75%以上低減させた自動車をいう。

 

(3) 新規検査時における経過措置(新設)

対象自動車 (1)及び(2)の改正により、エコカー減税の対象外となる平成27年度燃費基準達成車
対象検査 新車に係る新規検査
適用期限 平成29年4月30日までに新規検査が対象
税制措置 本則税率を適用
(エコカー減税の対象車以外は、本来、本則税率よりも高い税率を適用)

 

2. 今後も注目点

  • (2)については、2回目以降の車検においても本則税率が適用されるものと思われる。

 

【参考】自動車重量税とは

  • 自動車重量税は、車検などの際に自動車の所有者に対して課税される国税です。
  • 納税額は、車種や車検期間、重量毎に定められています。

 

 


自動車取得税におけるエコカー減税の見直し

1. 改正の概要

  • 平成32年度(2020年度)燃費基準への移行を円滑に進めるとともに、足元の自動車の消費を喚起するため、自動車取得税について次の措置が講じられます。

(1)燃費性能に関する要件の見直し(新車)、(2)27年度燃費基準によるエコカー減税(新車)の継続適用及び(3)取得価額からの控除額の見直し(中古車)を行います。

 

(1) 燃費性能に関する要件の見直し(乗用車(新車)の場合)

軽減割合 適用要件
改正前 改正案
非課税 電気自動車等 電気自動車等
H27燃費基準
+20%以上
H32燃費基準
+20%以上
80%軽減 H27燃費基準
+10%以上
H32燃費基準
+10%以上
60軽減 H27燃費基準
を充足
H32燃費基準
を充足
  • H32燃費基準+20%以上とは、エネルギー消費効率が平成32年度燃費基準より20%以上燃費性能が良い自動車をいう。

 

(2)平成27年度燃費基準によるエコカー減税(新車)の継続適用(新設)

対象車の例 要件 ① 要件 ② 要件 ③ 税額
乗用車
(新車)
H27燃費基準
+10%以上
H17排出ガス
規制適合
H17排出ガス
基準△75%以上
40%軽減
H27燃費基準
+5%以上
20%軽減

 

 

(3) 取得価額からの控除額の見直し(乗用車(中古車)の場合)

控除額 適用要件
改正前 改正案
45万円 H27燃費基準+20%以上 H32燃費基準+20%以上
35万円 H32燃費基準+10%以上
30万円 H27燃費基準+10%以上
25万円 H32燃費基準
15万円 H27燃費基準 H27燃費基準+10%以上
5万円 H27燃費基準+5%以上
  • 上記表は、H17排出ガス規制に適合し、かつH17排出ガス基準△75%以上(ガソリン燃料に限る)を満たす場合の控除額である。
  • 控除額は、自動車の種類、重量等に応じて要件が定められている

〇 平成27年4月1日から平成29年3月31日までに取得する自動車等について適用される。

 

2. 今後も注目点

  • 消費税率10%引き上げ時(平成29年4月1日予定)に自動車取得税は廃止され、自動車取得税のグリーン化機能を維持・強化するため、環境性能割が導入される予定である。

 

 


軽自動車税~グリーン化特例(軽課)の導入

1. 改正の概要

(1)平成27年4月1日以後、新車登録した軽自動車から軽自動車税の税率が引上げられましたが、同日以後平成28年3月31日までに新規取得した環境性能に優れた軽自動車については、取得の翌年分(平成28年度分)のみ燃費性能等に応じて軽減する措置が新設されます。
(2)原動機付自転車及び二輪車の税率引上げ時期が、1年間延期され、平成28年度分からとなります。

 

(1)軽自動車税の税額表

c03図2-1

※1 平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成21年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの
※2 平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ないもののうち、下記に該当するもの
(乗用)平成32年度燃費基準+20%達成車、(貨物用)平成27年度燃費基準+35%達成車
※3 平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ないもののうち、下記に該当するもの
(乗用)平成32年度燃費基準達成車、(貨物用)平成27年度燃費基準+15%達成車(②に該当するものを除く)

 

2. 今後も注目点

  • 軽自動車税のグリーン化特例(軽課)は、消費税率10%引上げ時の自動車税・軽自動車税の環境性能割の導入の際に、自動車税のグリーン化特例(軽課)とともに見直される予定である。※環境性能割とは、環境性能に応じて課される税をいう。

 

【参考 】軽自動車税とは

  • 毎年4月1日を賦課期日とし、軽自動車等を所有する者に課される地方税(市町村税)です。
  • 車種および用途等に応じ税額が決められています。

 

内容につきましては、「平成27年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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