受取配当等の益金不算入の見直し
速報 平成27年度(2015年度)税制改正解説
1. 改正の概要
- 受取配当等の益金不算入については、株式等の区分が変更され(3区分→4区分)、それに伴って、益金不算入割合、負債利子控除の計算の対象範囲が見直されます。
- 公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配の額について、益金不算入割合が見直されます。
- 関連法人株式等に係る負債利子控除額の簡便法の基準年度が、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度となります。
(注1)所有期間6月以上であるものに限ります。
(注2)投資信託についても改正が行われます。
- 通常の投資信託
改正前:収益の分配金の2分の1×50%が益金不算入→改正案:益金不算入計算の対象外(全額益金算入) - 外貨建資産割合又は非株式割合50%超75%以下の投資信託
改正前:収益の分配金の4分の1×50%が益金不算入→改正案:益金不算入計算の対象外(全額益金算入) - 外貨建資産割合又は非株式割合75%超の投資信託
改正なし(全額益金算入) - 特定株式投資信託
改正前:収益の分配金の50%が益金不算入→改正案:非支配目的株式等として20%益金不算入
(注3)負債利子の金額が大きい場合には、減税となることもあります。
具体例:保有割合30%の国内株式について配当金1,000千円を受けた場合(負債利子100千円とする)
2. 実務上の留意点
下記株式保有割合の場合には、改正の影響を受けることとなる。
保有割合 | 影響 |
25%以上3分の1以下 | 益金不算入割合100%→50%であり、負債利子を控除しなくなるが増税の可能性が高い |
5%超25%未満 | 益金不算入割合50%継続するが負債利子を控除しない分、減税となる |
5%以下 | 益金不算入割合50%→20%であり、負債利子を控除しなくなるが増税の可能性が高い |
オーナーの資産管理会社につき、保有割合が25%以上3分の1以下のケースがよく見受けられる。
当該ケースにおける資産管理会社は本制度の改正の影響を受けるため、今後の保有割合につき検討する必要がある。
3. 今後の注目点
- 適用開始時期
- 関連法人株式等の所有期間や負債利子簡便法の計算の詳細
- 別表八(一)の様式
内容につきましては、「平成27年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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