外国子会社合算税制等の見直し
速報 平成27年度(2015年度)税制改正解説
トリガー税率の変更
1. 改正の概要
- 軽課税国に所在する外国子会社(「特定外国子会社等」)を活用した租税回避への対策として、特定外国子会社等の所得は、日本親会社の所得と合算され、日本において課税されることとされています。(外国子会社合算税制)
- 今回の税制改正では、諸外国の法人税率の引き下げに対応して、軽課税国であるか否かの判定に用いられる実効税率の基準(いわゆる「トリガー税率」)が20%未満に引き下げられます。
内容 | 改正前 | 改正案 |
トリガー税率 | 20%以下 | 20%未満 |
〇 特定外国子会社等の平成27年4月1日以後に開始する事業年度に適用される。
2. 実務上の留意点
- トリガー税率は、外国子会社の所得に対する実際の租税負担割合(実効税率)により判定するため、法人税率20%の国に所在する子会社についても、実務上は検証が必要である。
- 法人税率が20%に該当する主な国は以下のとおりである。
英国(2015年4月~)、タイ、ロシア、チリ、トルコ、サウジアラビア、フィンランド - その他の主要国の税率は以下のとおりである。
米国(35%)、オーストラリア(30%)、中国(25%)、香港(16.5%)、インドネシア(25%)、マレーシア(25%)、シンガポール(17%)、台湾(平均税率17%)、ベトナム(現行22%。2016年1月より20%)
適用除外基準の見直し
1. 改正の概要
- 外国子会社合算税制における適用除外基準の一つ「事業基準」の判定に当たり、これまで外国法人に限られていた「被統括会社」について、一定の内国法人も含まれることとなります。
※ Cが株式等の保有を主たる事業とする場合において、複数の被統括会社に対して統括業務を行っている「統括会社」であるときは、統括業務を行う事業法人として、Cの所得は外国子会社合算税制の対象にならない。しかし、現行制度では、被統括会社が外国法人に限られているため、Cが規模の大きな内国法人を有する場合は、簿価要件(注)を満たさずに合算課税の対象になるケースがあった。これが日本企業の海外展開を妨げる一つの要因となっているため、一定要件を満たす内国法人を被統括会社として認めることとした。
(注)Cが保有する全株式のうち被統括会社の株式の簿価が50%超である必要がある。
〇 特定外国子会社等の平成27年4月1日以後に開始する事業年度に適用される。
2. 実務上の留意点
- 他にも「保有する被統括会社の株式の簿価のうち外国法人であるものの簿価が50%超、又は統括業務の対価の額のうち外国法人である被統括会社に対するものが50%超を占めること」、「二以上の外国法人である被統括会社を含む複数の被統括会社に対して統括業務を行うこと」と要件が見直されるため、統括会社の判定に当たっては、より慎重な判定が必要である。
内容につきましては、「平成27年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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